第71話
「本当にいいのか?」
「いいに決まってるじゃない!」
俺はアキーエの頭に手を乗せる。
少し震えているのがわかる。
いくら信頼していたとしても自分のスキルがなくなるかもしれないんだ。
怖くないはずがない。
頼むぞ模倣スキル。
俺は頭の中で模倣スキルを譲渡する事を思い浮かべる。
(ピコーンッ)
『模倣スキルを発現しました。対象にスキルを譲渡しますか?』
譲渡する‥
『スキル保有者の承認を確認致しました。譲渡を行います。どのスキルを譲渡しますか?』
【格闘士】
『譲渡するスキルを確認致しました。スキルを譲渡します』
するとアキーエの身体が微かに光る。
「どうだアキーエ?何か変化はあったか?」
アキーエは自分の身体を動かして様子を見ている。
「凄い感覚ね‥急に身体の動かし方って言ったらいいのかな?そういうのがわかる気がするの。歩き方や身体の動かし方に今までどれだけ無駄があったのかわかるわ‥」
アキーエは魔法使いだし、魔法を使った立ち回りの訓練をしていたからな。
「今ならゴブリンくらいなら素手で倒せるような気がするわっ!」
そう言いながら部屋の中で動き出す。
危ないからやめなさい‥
ワンピースの部屋着を着ているのにそんなに動いて‥
スカートがひらひらしてるじゃないか!
太ももが太ももが‥
目の前でアキーエが華麗に一回転すると見事な回し蹴りが俺の太ももに入った‥
悶絶する‥
太ももが太ももが‥
ア、アキーエに【格闘士】を譲渡したのは、俺の命を脅かすんじゃないだろうか‥
「アキーエ。今までのスキルはどうなってるんだ?」
「問題ないわよ。【属性魔法:火】も【判別】も使えるわ!」
よかった。1番懸念していた事は起こらなかったようだ。
しかし今後何らかの制限があるのかもしれない。
まあそれは起こってから考えればいいか。
こんな嬉しそうなアキーエに水を刺す必要もないだろう。
「それじゃ今後どんなスキルを模倣していくか考えておこう。アキーエはやっぱり魔法がメインだから立ち回りが上手くなるようにスピードをメインで。あとミミウは盾士以外に攻撃手段となるメイス系のスキルと筋力アップだろうな。」
「そうね。後は立ち回りで必要なのは身体の動かし方とスピードだと思うから異論はないわ。」
ミミウはしばらく考えていたがまとまったようだ。
「私はメイス系かショートスピアを扱えればと思いますぅ。後は上肢の筋力アップがあればいいかなと。それと足が少し速くなれば何かあった時は便利かなと思うですぅ。」
「わかった。あとキリーエはメインで戦闘系のスキルがないから、身を守る程度のスキルと商用スキルが模倣できたら渡すようにするよ。」
「ウチもいいの?」
キリーエは自分の事は考えてなかったらしく少し驚いた表情をしている。
「もちろん。パーティだからな。」
「あと譲渡についてはわからない事が多い。もしかしたら譲渡出来る数に上限があるかもしれない。だから優先順位の高い物から譲渡するようにしていこう。」
「それがいいと思うわ。何でも譲渡できるようなデタラメスキルじゃないと思うから。まあ今の時点でも、とんでもスキルだとは思うけどね‥」
確かに‥
最初はクズスキルだと思ってたのにとんでもないスキルになっていってるな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます