第252話

男が息を引き取った後しばらくするとキリーエとミミウも起きてきた。


不審者が入り込み、しかも捕まえた後に亡くなった事を話すと2人とも驚いていた。


キリーエが狙われている事を話すか迷ったが、ロンギルに行くにしろキリーエが内容を知らないと話はすすまないと思い話す事にした。


まだ不確かだが俺の考察も含めてキリーエが狙われている事を話した。


全て話した後にキリーエは「そっか。うちが狙われてたんやね。確かに最近他の国の商売も面白いほど上手くいってたからね。出る杭は打たれるか‥でもうちは打たれんよ。こんなんで負けてたら世界一の商人になれんからね!」と言った。


キリーエは強かった。

そう言いながらも手が震えている。

怖いのだろう。

しかしそれでも自分の夢を諦めない。

そんなキリーエの力に少しでもなりたいと思う‥



夜が明けて俺は念の為に男の側にいて、アキーエに衛兵を呼んできてもらった。


衛兵は男を運んで行ったが、後で別の衛兵が事情を聞きにくると言っていた。


俺たちは衛兵が来る間に今後の話をする事にした。


「キリーエ。さっきの男が言っていた事が本当なら、依頼を受けたギルドはロンギル共和国にあるらしい。どうする?ロンギル共和国に行ってギルドを探して元を絶つのか、それとも相手が諦めるまでこちらで迎え撃つか。」


「そやね。狙われている理由が知りたいとは思うけど、おそらく忠告の意味もあったんかなと思う。これ以上目立って商売をするようならもっと凄腕が来るんかなと。でもうちはそれにびびって商売を小さくする気はないよ。」


「とりあえず衛兵の人に事情を説明した後に情報を集めましょう。動くとしてもイザベラさんや思い切ってエッケンさんなんかにも話を聞いてからの方がいいと思うわ。」


アキーエはそう言うと座っていたソファーから立ち上がる。


「わたしとミミウで話を聞いてくるわ。イザベラさんはうちにきてもらってマルコイと話してもらって、エッケンさんにはマルコイのさっきの考察を伝えてきて、何か知っている事があるか聞いてくるわね。」


「そうだな。俺は自宅でキリーエと待機しておく。スキル【察知】があるから家の周辺だったら敵が来てもわかるからな。それに今まで必要なかったから先延ばしにしていたけど、キリーエにも自衛のために模倣したスキルを譲渡しようと思う。だけどまだキリーエに渡せそうな有用なスキルが少ないから、模擬戦でスキルを集めながら考えるよ。」


「みんなうちのためにありがとうな。」


キリーエがそんな事を言う。

商売の事になったら目の色変えて動き出すキリーエだが、俺たちにとって大事な仲間だ。


「俺たちがどれだけキリーエに助けてもらってると思ってるんだ?そんなキリーエが困ってるんだ。全力で助けるに決まってるだろ。」


「マルコイさん‥」


「そうよ。マルコイがいくら異世界の知識を持っていたところで、それを商売にできる人がいないとお金にならなかったんだから。マルコイがやりたいようにやれたのもキリーエのおかげ。そんなキリーエが困ってるんだもの。力になるに決まってるじゃない。」


俺ってそんなに浪費家なんだろうか‥

覚えがないのだが‥


「何の話みたいな顔してるけど、マルコイの魔道具作るのに使った魔道具とか幾らかかったと思ってるの?」


あ、はい。

浪費家でした。


「ミミウもご飯たくさん食べれるのはキリーエさんのおかげだからがんばりますぅ!」


「アキーエちゃん、ミミウちゃん‥ほんまありがとうね。」


はは。

確かにミミウのご飯はほとんどキリーエのおかげかもな。

普通のパーティだったら食費だけで破産してそうな気がする。


「よし。それじゃあ今まで通りの生活を続けて、情報が集まり次第どうするか決めるとしよう。」


俺はキリーエの護衛とスキル集め。

アキーエとミミウは情報集めに動くとしよう。

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