第458話
「ラケッツさん!」
俺はクワイスと話をしているラケッツに話しかける。
「あ?‥あっ!マ、マルコイさん!お久しぶりです!ど、どうされました?あ!クワイスさんに用事ですか?わかりました。すぐに退散しますね!」
「いやいや、ラケッツさん。そのままいてくださって大丈夫ですよ。」
俺は逃げようとしたラケッツの手を握りがっちりとキャッチする。
「すまないクワイス。ちょっと聞きたいんだけど、ラケッツさんもこの作戦に参加するのか?」
「ああ。でも初陣になるから後方支援をさせようと思ってたんだけど‥マルコイさん‥何か変な事考えてるよね?」
最近俺の周りの人の勘が鋭い気がするんですけど‥
「酷い言われようだな。別に変な事は考えてないよ。せっかく知り合いになれたラケッツさんに親交の証として魔道具を作ってきたから渡したいと思っただけだよ。」
何故か頭を抱えるクワイス。
俺何か変な事言ったかな?
「本当ですか!ありがとうございます!俺なんか下っ端のために魔道具なんていいんですか!?」
ほら。
ラケッツさん喜んでくれてるじゃないか。
「ラケッツ‥お前酷い目にあいたいのか‥?マルコイさんの事だから、とんでもない魔道具だぞ。それこそお前の身体に爆弾括り付けてモンスターに放り込まれるかもしれないぞ‥」
なんて事言うのかねクワイス君!
ほら、そんな事言うからラケッツ君の腰が引けてるじゃないか!
「マルコイさん‥お気持ちはありがたいんですけど、俺まだ生きていたいです‥」
何故か涙目になって俺を見てくるラケッツ。
君たちは俺の事をなんだと思ってるんだい?
しかし‥
クワイス。
本当に勘がするどいな‥
「まさかそんな事しないよ。ラケッツさんは初陣ってことだけど、そんなラケッツさんに相応しい魔道具の鎧を作ってきた!これさえあれば、ラケッツさんはモンスターのど真ん中にいても問題なしだ!」
そう言いながら俺は『スペース』から魔道具を取り出す。
見た目は異世界の全身タイツの上から木の鎧をつけたような品物だ。
「これがラケッツさん用に作った魔道具だ。」
ラケッツさんは恐る恐る鎧を受け取る。
「木製だから、見た目通り鎧としてはすごく軽いけど、下地にしている布に魔力回路を貼り付けて防御力を上げているんだ。」
下地にしている布に関しては魔力回路を這わせて、ある程度のモンスターの攻撃ならダメージを通さないよう作っている。
しかし元が布なので、強力なモンスターの攻撃ではダメージを受けてしまう。
そこで上に装着している木製の鎧の出番だ。
「実はこの木製の鎧に秘密があってね。この鎧は攻撃を受けたら、ある方法で相手の攻撃を跳ね返すんだ。そのある方法については実際に実戦で使ってみてからのお楽しみなんだけど、それを着ている人には全く影響がないよ‥‥‥‥たぶん。」
「今最後に不吉な事言いませんでした!?」
「はは。まさか何も言ってないよ。」
ここで内容まで伝えると着てくれないような気がするから、本番まで内緒にしとこう。
「せっかくだから後方支援と言わずに、是非前線で戦いに参加して欲しい。是非とも!」
「はぁ‥‥‥ラケッツ。マルコイさんの魔道具は死んだりはしないから、せっかくだから使わせてもらえ。そうじゃないと何かしらの手段を用いて戦う場面を作られるぞ。‥‥多分死んだりしないと思う‥」
「思うって何ですか!?」
「大丈夫だラケッツさん。爆発はするが死にはしないよ。」
「爆発するじゃないですかー!死んじゃうじゃないですかー!」
大丈夫だラケッツさん。
何度も言うが、爆発はするけど死にはしないよ。
爆発はちゃんと身体に影響ない成分を使っています。
じゃなかった、ちゃんと爆発で怪我しないように考え作ってますよ。
ただ考えてるだけで、試してないんだけどね‥
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