第899話
倒れたオークエンペラーに近寄る。
どうやら事切れているようだ‥
オークエンペラーの身体を確認する。
オークエンペラーの額の部分、ガッツォさんが持っていた『全部燃やし斬ったれ炎剣君』の刀身が当たっていた部分に黒い穴ができている。
確認すると、後頭部にも額に空いていた黒い穴が同じように出来ている。
貫通しているのか‥?
なるほど‥
おそらく炎で出来た刀身では、一瞬で相手を焼き斬る事はできないようだが、ほんの僅かな時間でも同じところに当てる事で、その部分を焼き尽くす事が出来るようだ。
「な、なんだ一体?何が起こったんだ?お、おいマルコイ。オークエンペラーは死んでいるのか?」
ガッツォさんがオロオロしながら、俺とオークエンペラーを交互に見ている。
「誠に残念だけど、オークエンペラーは事切れているようだ‥」
「な、なぜ残念なのかわからないが、倒せたんだな?」
「誠に遺憾ながら‥」
納得はできていないが、そんな感じの武器として使うしかないかな‥
「すげーっ!兄貴すげーよ!オークエンペラーを倒しちまうなんて!」
「ばかやろう!俺が凄いんじゃねえ!マルコイが渡してくれた武器が凄いんだ!マルコイ‥重ね重ね助かった、礼を言う。ありがとう。」
「別に気にしなくていいさ。俺が助けたいと思ったんだからさ。」
「ははは。だが、俺だけじゃなく、こいつらも助けられた。それに俺は死を覚悟したんだが、なぜ助かったんだ?」
ガッツォさんが笑顔で聞いてくる。
白い歯と頭が眩しい。
「確かにオークジェネラルに斬りつけられて危なかったよ。でも俺が持ってるポーションをかけまくったから何とか間に合った。」
「お、お前、死に面した程の傷を治すポーションなんて、どれだけ貴重なんだ!?そんな物を俺の為なんかに‥‥」
うっ‥
そんなに感動されると困るんだが‥
キリーエにたくさん貰って『スペース』の中に適当にぶっ込んでたやつなんですけど‥
「マルコイ!俺の命はお前に救われた!これから先、俺が必要な時はいつでも言ってくれ!俺はお前のために命を使おう!」
さすがガッツォさんだ。
その言葉も頭も光ってやがる。
「そう言ってくれると助かる。実は俺たちは魔王と戦ってるんだ。ガッツォさんにもその戦いに参加してもらうとありがたい。」
「魔王といえば、魔族たちの王だろう?俺はBランクの冒険者だ。俺なんかで役に立つのかどうかわからないが、俺が必要だというのであれば共に戦わせてくれ!」
むっふぅ!
なんて事だ。
こ、こんな都合のいい展開になるとは‥
ガッツォさんの事だから、お願いすれば助力してくれるとは思っていたが、勇者として名乗りを上げてもらうのは難しいと思っていたのだが‥
「ありがたい。さっきも言ったが、渡した武器はガッツォさん専用の武器だ。それは試作品でもっと強いのを作っていくつもりだ。魔王と戦うまでには間に合わせる。だから、魔王と戦う時に中心となって戦って欲しい。」
「‥‥‥わかった。俺なんかの力がどこまで助けになるかわからないが、前線で戦わせてもらおう!」
むふふ‥
これで勇者が揃ったな。
ようやく魔王討伐に駒を進める事が出来そうだ‥
「兄貴すげえ‥‥兄貴は今から魔王と戦うんすね!まるで勇者じゃないっすか!いや、兄貴はやっぱり勇者だったんだ!兄貴は『閃光の勇者』っすね!」
ガッツォさんと一緒に来たと思われる男がガッツォさんの頭を見ながらそんな事を言い出した。
う〜む‥
それもいいかもしれない。
俺は『スキンヘッドの勇者』と思っていたが、『閃光の勇者』か‥
何か光属性のすっごい強い勇者っぽくない?
まあ輝いてるのは光属性じゃなくて頭なんだけどさ。
「だから何度も言ってるだろうが!凄いのは俺じゃねえ、マルコイだって!」
「た、たしかにマルコイ‥さんも凄いっすね。」
男2人が何故か冷や汗を流しながら恐る恐る俺に話をかけてきた。
「さすが、闘技会で優勝するような人だ。ただもんじゃないと思ってたんですけど、まさかここまでお強いとは思わなかったっすよ。」
ん〜‥
やっぱりどこかであった気がするんだが‥
「こいつらは5〜6人くらいのパーティだったんだが、あまり素行が良くなくてな。俺が少し活をいれたんだが、それからこの2人がついてくるようになってな。」
5〜6人くらいのパーティ‥
素行が良くない‥
「あっ!お前らカーロッタのギルドでギバスさんに絡んで、ついでに俺にも突っかかってきたやつらじゃないか!」
確かロンギルに行く途中に寄った生まれ故郷で報酬の高い依頼を出せとか絡んでたやつらだ!
「へい‥あ!でもあれから心を入れ替えて、今はガッツォの兄貴に男を教えてもらってる最中です!」
ほうほう。
これは『閃光の勇者』とその従者をまとめてゲットした感じじゃないか?
むふふふ。
君たちも『閃光の勇者』に相応しい仲間になってもらわないとね。
知らない人だとアレだけど、一度拳を交えた仲だからね、安心して実験‥‥じゃなかった、強くできるっぽいぞ!
----------------------------------------------------------------------
〇読んでくださった方へ
よろしければ、星をポチッとしていただけると、とても嬉しいです。
今後の執筆のモチベーションにもつながりますので、ぜひよろしくお願いします~!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます