第900話
とりあえずオークの脅威はなくなったようなので、村に戻ることにした。
「しかしマルコイ。このオークたちは燃やしてしまっていいのか?」
少数であれば問題ないのだが、これだけの数のモンスターの死骸は他のモンスターを呼び寄せるかもしれないからな。
燃やしてしまうのが1番だろう。
「そうですね。これだけの数の死骸であれば燃やしておかないと後々問題になりそうですからね。」
俺は木偶爆弾を『スペース』から取り出す。
「そうか。何でもオークの上位種はとんでもなく美味いらしいが、このサイズだと持って帰るのも大変だからな。後の事を考えると、燃やしてしまった方がいいだろうな。」
なんですと?
それじゃあオークエンペラーはとんでもなく美味しいって事ですか?
それはうちの食いしん坊が残念がるな‥
オークエンペラーくらいは持って帰ったほうがいいのだろうか‥?
はっ!
拙い、こんな話をしていると!
「もったいないがしょうがないな。マルコイの道具で燃やすのか?もう何が起きても驚かないから、どんとこ‥」
「それは勿体無いからダメですぅ!」
ガッツォさんの煌びやかな頭の‥間違えた、大きな身体の背後から突然声がした。
俺は誰だかわかっているが、他の人たちはわかっていない。
今の今まで、ここには俺たちしかいなかったはずなのに、突然他の人の声が聞こえてきたのだ。
そりゃ恐怖だわな。
いや、俺もそんな気がしただけで、実際本当に現れるとビビったけど‥
「だ、だれだ!」
「ミミウはミミウですぅ!それよりも美味しいお肉さんはちゃんと食べないと罰が当たるですよ!」
はい、ミミウさんでした。
アースドラゴン狩に勤しんでいらっしゃると思ってたんですけど‥
やっぱり美味しいお肉があるところにはミミウさんあり、だな。
「な、なんだどっから来たんだお嬢ちゃん?もしかして村の子か?俺たちについてきたのか?こんな危ないところに1人で来たらダメだろう!」
ガッツォさんの付き人さんがミミウさんに声をかける。
大丈夫だよ。
その子1人でドラゴン狩るような子だから。
「ん?その娘はマルコイの仲間じゃないのか?マルコイと一緒にいたところを見た事があるぞ。もしかして周りを警戒してくれていたのか?」
いいえ、違います。
多分その娘さんは、突然ここに現れたんだと思います。
「ミミウさんさっきまでいなかったですよね‥やっぱりマルコイさんの仲間だけある‥」
失礼な。
俺は関係ないだろう。
ミミウさんがちょっと特殊なだけです。
あ、キリーエさんも特殊だった‥
「美味しいお肉さんはちゃんと持って帰るですよ。あ!マルコイさんがいるですぅ!やったです、ご飯食べれるですぅ!」
俺がいるって知らなかったのね‥
ただ美味しいお肉があるところに飛んできただけか‥
あれ?
これってもしかして、高ランクの冒険者がドラゴンと戦って、何とか倒したぞ!ってなった時に、もしお肉持って帰れないから置いていこうとしたら、そこにもミミウさんが現れるって事?
ちょっとした怪奇現象じゃないか!
そのうちギルドにミミウの調査依頼とか出るんじゃないだろうか‥
「マルコイさん!美味しいご飯が食べたいですぅ!」
うっ‥
そうでしたね。
「おいおいお嬢ちゃん。こんな所で何を言ってるんだ?時と場合を考えないと。俺たち死にそうな目にあったのに、突然現れてご飯食べたいなんて‥「とうっ!」ぐはっ!」
モブキャかラタチかどっちかわからんけど、とりあえずミミウに文句を言うやつは成敗だ。
俺が放った飛び蹴りを喰らって、錐揉みして飛んでいくモブキャかラタチ。
「モ、モブキャー!」
あ、モブキャの方だったのか。
ラタチがモブキャが飛んでいった方に駆けて行った。
心配するな、峰打ちだ。
「マ、マルコイ‥?」
ガッツォさんが何か言いたげだが、気にしない。
「そうだな、ミミウ。せっかく新鮮な美味い肉が手に入ったんだ。この場で何か食べようか。」
「わーい!やったですぅ!」
この大食い大魔王をちゃんと制しとかないと、魔王よりも大変なことになるからな。
俺はオークエンペラーを木に括り付けて血抜きをする。
オークの肉は豚肉と同じような物だが、オークの肉の方が普通の豚肉よりも硬い。
通常店に並んでいるオークの肉は豚肉よりも安価で設定されており、割と安く手に入る。
だけど、それはあくまで普通のオークの話であって、ガッツォさんの話では上位種はそれに当て嵌まらないらしい。
血抜きが終わり、部位ごとに切り分ける。
『スペース』から魔道具のコンロセットを取り出して料理の準備を始める。
何の料理を作ろうか‥
試しにオークエンペラーのロースの部分を少し切り取ってみる。
おお、綺麗な脂がさしてるな。
焼いてみると、何とも言えない匂いが漂ってきた。
焼いただけのお肉を食べてみる。
ぬおっ!
なんて脂の甘さだ。
それにオークの肉なのにすごく柔らかい!
これってアースドラゴンより美味いんじゃないだろうか‥
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