第162話

『模倣スキルのレベルが上がりました。模倣スキルを譲与結合出来るようになりました』


『譲与結合出来る対象がいません。模倣スキルの譲与結合を中止します』


お?

模倣スキルのレベルが上がったな。

つい最近上がったけど、また上がったのか。

基準がわからないな。

模倣する回数だと思っていたが、模倣するスキルによっても違うのだろうか。

もしかしてレアなスキルほど上がるのであれば、スキル【換装戦鎧】がかなりレアなスキルだったという事なのかもしれない。

それに『譲与結合』か。

『譲渡』と同じ感じがするけど、進化したってことか?

しかし対象がいないって事はいつ使っていいのかわからないな‥




「どうだ?俺はイケてるだろう。嫁に来い。」


リュストゥングはまだやってる。

場合によっては俺が間に入るべきかと思ったが、Sランクを手玉にとっているアキーエを見るとなんかちょっと恐い‥


「ありがとうございました。とてもためになりました。ないと思いますけど、また機会があればお会いできたらと思います。それでは。」


凄まじい速度で反転してその場を去るアキーエ。


俺が戸惑っていると凄い目で睨まれた。


目が早くついてこいと言っているようだ‥


「それじゃすいません。失礼します。」



「よ、嫁にきてくれーーっ!」




キリーエとミミウは他人のフリしてた‥

絡まれたくないのね‥



俺は宿に戻りさっそくスキル【換装戦鎧】を試してみた。

模倣スキルでは一種類の鎧しか着装することが出来なかったけど、かっこよすぎて夜中までやってしまった。

気づいたら床に寝たまま朝になっていた。


アキーエ曰く、夜中に何か倒れる音がしたので見に来たら俺が床に寝ていたらしい。


魔力が切れるまでやってたんだな‥

しょうがない。

だってかっこいいんだもん。





翌日、会場に来ると先日の報告通り第二試合があるとの事だった。


双剣使いのシュッツガウト対大剣使いのライアス


ライアスって人はアマンダさんに勝ち上がった人だな。



「それでは始めっ!」


闘いが始まった。

手数でシュッツガウトが上回っているが、ライアスのはじっと隙を窺っているようだ。

アマンダさんと闘った時もその防御技術で凌ぎ切っていたからな。


シュッツガウトの攻撃が途切れた時にライアスが大剣を振う。

シュッツガウトも双剣で何とか防いでいるが、一撃が重い。


なかなか接戦だな。


「やあハニー。久しぶりだね。」


試合を集中して見ていると、あまり聞きたくない声がした。

もしかしたら俺に話しかけているのかもしれないけど、違う事を祈って無視をする。


「先日はお酒のプレゼントありがとう。でも急に席を立ってすまなかったね。予定があるのを忘れてたんだ。そんなに怒らないでくれないか?」


「マルコイさん何か変な人が話しかけてきてるですぅ。」


う、ミミウ‥

見たらダメだぞ。


振り向くとロメントがいた。

いてしまった‥


右手を腰にあて、上半身を逸らすようにしているが顔はこちらを見ている。


うっ‥


変態め。

闘う前から俺の戦意を削ぐとは、さすが戦巧者だな。


「実は今日知ったんだが、次の僕の相手は君らしいね。すまない僕はリュストゥングをマークしてたから他の人の事を気にしてなかったんだ。気を悪くしないで欲しい。」


それは‥


俺の事は眼中になかったって事だな。

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