第161話
闘技場に戻ると明日からの予定の発表があっていた。
場内の整備へ目処が立ち急ピッチで行うとの事で明日は通常通り試合は開催されるとの事だった。
ミミウと俺は明日の試合を見学に来る事にした。
次の試合に勝てば対戦する可能性もあるからな。
少し時間を使った後にそろそろアキーエのところに戻ろうかと思っていたら、アキーエの方からこちらにやってきた。
「もういいのか?」
「うん。ありがとう。明日も試合あるって?」
少し赤くなった目をしたままアキーエが尋ねてきた。
「ああ。Sランクのおっさんが闘技場を派手にぶっ壊してたけど、今日中に何とかなるらしい。」
「そうなんだ。確かにあのおじさんそんな事お構いなしに攻撃してきたもん。」
「誰がおじさんだ。」
突然の声に驚き全員が声のした方を向く。
そこにはリュストゥングが立っていた。
「俺はまだ34歳だ。おじさんと言われる年齢ではない。」
いきなり出てきて何言ってんだ、このおっさん。
「34歳は世間一般的にみておじさんの年齢に入ると思いますけど?」
「なっ!」
俺がそう言うと肩をガックリと落として落ち込んでいる。
なんだ?
この人こんなキャラだったっけ?
「ぐぬぅ、それではみんな俺の事をおじさんと思っているわけか‥よ、よ、よ‥」
ん?
「嫁が遠ざかる‥」
やっぱり何言ってんだこの人?
もっと闘いこそ俺の全て!みたいな人じゃないのか?
親しみやすいが何か違和感が半端ない。
「ええい!そんな事はどうでもいい!おいアキーエと言ったな。」
「はい?」
突然の事に少し後退りしながら答えるアキーエ。
「お前は強い。俺と一緒にいても共に先に進めるだろう。だから‥‥‥だから俺の嫁に来な‥」
「お断りします。」
あ、まだ話している途中なのにぶった斬って断った。
そしてリュストゥングは今度は地面に倒れ込んだ。
何かアキーエの最後の技を喰らった時よりもダメージが大きそうなんだけど‥
「ぐぅ、理想の女性に逢えたと思ったのに‥」
やっぱり残念な人だ。
Sランク冒険者は変な人しかいないのだろうか‥
「嫁はお断りですけど、今日の闘いは本当に勉強になりました。記念にリュストゥングさんのギルドカードを見せてもらっていいですか?」
「おお!いいぞいいぞ。どんどん見ろ。そして嫁に来い。」
ギルドカードをリュストゥングから受け取り俺から見える位置で確認する。
リュストゥング
冒険者ランクS
スキル【換装戦鎧Lv.7】【上肢筋力向上Lv.2】
「すごいですね。このスキル【換装戦鎧】って言うのが使用していたスキルなんですか?」
「そうだ。このスキルで俺はSランクまで上り詰める事ができた。だから嫁に来い。」
「そうなんですね。よかったらもう一度見せてもらってもいいですか?」
み、見事なまでのスルーだなアキーエ‥
そしてすごく悪そうな顔で笑っている‥
「わかった。見よ俺のスキルを!『着・闘鎧』。」
(ピコーンッ)
『模倣スキルを発現しました。スキル【換装戦鎧】【上肢筋力上昇】を模倣しました』
やばい‥
Sランク冒険者のスキルを模倣してしまった。
悪アキーエのおかげで‥
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます