第163話

Sランク冒険者が闘技会開始時にBランクの俺の事なんて気にとめていなかったのはわかる。


しかしAランクすら眼中にない。

それに闘いをすすめてAランク冒険者に勝った俺も眼中になかったらしい。


自慢するつもりもないしバラックスさんに勝てたが接戦ではあった。


でもここまで面と向かってお前は眼中にないって言われると流石に頭にくるな。


「そうか。だったら対戦した時に嫌でも俺の事をわからせてやるよ。」


「そうかい?なんだったらベッドの中で教えてくれてもいいんだよ。今からどうだい?」



「ベッドの中で何を教えるんですか?」


ミミウやめなさい。

話しかけると変態がうつるぞ。



「そうだね。気持ちいい事だよ。君も大人になったらわかるよ。そうだね、後10年したら僕のところにおいで。そしたら教えてあげるよ。」


俺はすぐにミミウを自分の後ろに引き入れる。


「そうだ。今度の闘いで僕が勝った後に夜慰めてあげるよ。どうだい?」


この変態はもう勝ったつもりでいるみたいだ。

嫌味ではなく本心で思っている。


「それなら俺が勝ったらどうする?」


「君が勝ったら?はっはっは。面白い事を言うね。いいよ君が勝ったら何でも言う事を聞くよ。僕を1日自由にしてもいいさ。」


そんな特典はいりません。

でも言質は取ったぞ。


「今度の闘いまでに考えとく。約束は守れよ。」


「ははは。君は本当に面白い人だね。本気で惚れてしまいそうだ。それじゃ楽しみにしてるよ。」


ロメントはそう言って去っていった。


あれって本気でそう思ってるんだよな‥

あれだけ綺麗な顔をしているんだ、それ関係に不自由した事がないんだろう。


なんかふつふつと怒りが込み上げてきた。

全世界の男性(特にリュストゥング)の為にも俺が必ず成敗してみせる。


俺がそう心に固く誓っている後ろで、シュッツガウトが勝名乗りを受けていた。




あれ?

闘い終わったの?

俺見てなかったんだけど‥

 


許すまじ変態‥


俺がロメントを倒す理由がもう一つ増えたのだった。



その日の夜。


みんなで食事を終えた後に自分の部屋に戻ろうとしたら外にミミウがいるのが見えた。


「どうしたミミウ?部屋に戻らないのか?」


「あ、マルコイさん。まだ休めそうになかったから外で風にあたってたんですぅ。」


ミミウにしては珍しいな。

いつもはご飯食べたらすぐ寝てるみたいだったけど。


「もしかして明日の事で緊張してるのか?」


「多分そうだと思いますぅ。ものすごく強かったアキーエさんも負けちゃったし、今度の相手はすごく強そうだから。」


「おっ!ミミウは緊張とか無関係と思ってたんだけど、やっぱり人並みにするんだな。俺はそっちの方が驚いたよ。」


「もう!マルコイさんは私の事を何と思ってるんですか?緊張くらいするですよ。」


ミミウのほっぺがぷっくり膨れてる。

小さく可愛らしい女の子だ。

少し食いしん坊だけどな。

そりゃ緊張くらいするに決まっているよな。

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