第920話
「がっ!」「うわぁっ!」
「な、何が起こった!?」
エルフたちが放った精霊術は、その全てを恵が作り出した遠距離で操る事が出来る障壁に阻まれた。
水や土の精霊術を使ったエルフはよかったろうが、火の精霊を使おうとしていたやつは顔を火傷して地面を転がっている。
こっちもこっちでかなり扱い方が上手くなっている。
これなら魔王と真っ向勝負しても何とかなりそうだな。
「ふっふっふ‥ようやくマルコイ様と僕の研究の成果を見せる時がきたようだな。」
声のした方を見ると、卓が懐から一丁のリボルバータイプの銃を取り出すところだった。
卓は銃を構えると魔法の詠唱を始める。
「エルフよ!マルコイ様の力を思い知るがいい!風の力よ!その勁風にて我が敵を切り裂く狂風となれ『刃風連槍』!」
銃が光を放つ。
「あいつも何かするつもりだ!すぐに障壁を張れ!」
卓の銃を見て警戒したのか、エルフたちが魔法による障壁を作り出す。
エルフの前に出現した障壁を意に介さず、卓は銃の引き金を引く。
銃口から風の魔法を纏った銃弾が発射される。
卓が放った銃弾はエルフの防壁に当たると、その力を解放する。
銃弾はその場で破裂して、中に溜めていた魔法を放った。
「ぐわっ!しょ、障壁が破られた!?」
「な、なぜ人族の魔法にこれ程の威力があるんだ!」
う〜ん‥
何故って、一応その銃は魔法の威力を上げる触媒だからね。
アキーエに杖代わりのガントレットを渡したが、今回はそれの銃タイプってとこだ。
卓は魔法使いだから、渡す魔道具に関しては魔法触媒となる杖を作る方向で考えた。
だが、ただ杖を強くしても面白くない。
せっかくたがら格好いい物がいいなということで、卓のリクエストで銃の形となった。
だがまあ‥‥
銃にする必要は全くなかったりする‥
魔法の威力を上げる事は杖と遜色がないレベルまでにはなったが、はっきり言って普通の杖の方が魔法の発動速度や射出速度なんかは高くなるんじゃないかと思う。
しかし男の浪漫として銃の形にするのであれば、ちゃんと銃弾を撃てる物にしたかったのだよ。
その代わり特性として、魔法を銃弾の形にするものだから、銃弾が当たると同時に魔法を発動するというよくわからない武具となった。
しかしまさか相手の障壁を無効化するような事になるとは思わなかった。
障壁を壊した上に、その場で魔法を発動させるとは‥
お、おそろしい誤算だ‥
しかも魔法を弾倉に貯める事ができ、一度の魔法で数発の弾を撃つ事ができる。
何か勝手に良い感じの武器に仕上がってた。
さすが俺‥
あ、アキーエさん白い目で見ないでもらっていいですか?
「さすがマルコイ様の作製された銃だ!ありがとうございます!」
卓はそう言って、『脚がいっぱい速いぞ君』に乗って敵陣に突っ込んでいった。
敵陣のど真ん中で使うような魔道具というよりは、遠距離で支援するタイプの魔道具だと思うのだが‥
まあ恵もいるから大丈夫だろ。
ああ、しかしよかった。
暴発とかしなくて‥
次は『ハゲの勇‥』間違えた。
『閃光の勇者』であるガッツォさんだけど‥
ガッツォさんには『閃光の勇者』専用武器試作機2号を渡しているのだ。
オークエンペラーを倒した試作機1号はモンスター相手なら充分戦えると思うが、対人戦となると少々心許ない。
でかいモンスター相手なら数秒間試作機1号を当てることも出来るだろうが、エルフ相手だとバレたら動き回られるだろうからな‥
いや、段ボールならワンチャンあるかも?
「はっはっは、人族が持つ魔道具など恐るるに足らん!」とか言ってその場で試作機1号の攻撃を受けそうな気がする。
でも受けたら一発であの世行きだしな‥
変態の身内かもしれない奴にそれはあんまりか。
ガッツォさんに渡した試作機2号は、あやめに渡した『触ればビリビリ雷バチバチ槍君』を参考にした双剣だ。
ただ、あやめに渡した槍のように大きくないため雷を作る装置を別で作る必要があった。
背中にかなり大きめになった雷を作る魔道具を背負ってもらい、そこから雷を双剣に送るために柄頭にコードを取り付けた。
背中の魔道具は自動的に雷を充填させるために動いており、それを使用する時は剣に魔力を流して刀身部分に雷を発生させるのだ。
だが、放電するため刀身部分に常に雷を発生する事は出来ず、相手に攻撃する際に魔力を流して雷を発生させる必要がある。
結果的に、試作機1号と同じくらい癖のある魔道具となってしまった。
これではかなり取り扱いが難し‥
「ガガがぁ!」
「あぶぶぶ!」
「な、なんだ!?一体何に攻撃されてるんだ!し、障壁を張るんだ!魔法攻撃なら障壁を‥あががががが!」
ガッツォさんが相手を攻撃する時のみ雷を発生させて、まるで銃のようにエルフに雷を放っている。
ふむ。
正確には魔法ではないのだが、雷も通じるようだな。
まあこれはこれで‥いいのかな?
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