第653話

帝国兵の後方に大量のモンスターが出現した。


今いる帝国兵よりも多いかもしれない。


そんなモンスターが突然現れた。


戦場は混乱する。


特に帝国兵は自分たちの後ろにモンスターが出現したことにより、神聖国とモンスターに挟まれた形になってしまっている。


しかしモンスターの前を魔族が歩いているのを見て困惑から歓喜へと変わっていく。



そして魔族とモンスターは帝国兵をかき分けて、神聖国兵の前まで出てきた。


左右に帝国兵、中央にモンスターといった布陣だ。



突然敵の数が倍以上になった事で、神聖国側に動揺が走る。



これはちょっと予想と変わってしまったみたいだ。


まさかこんな切り札があるとは思わなかった。


これでさっきまで考えていた1人の魔族相手に5人で当たるような余裕を持った戦いは無理そうだな‥



しかし何故モンスターが突然現れたんだ?


あれだけの数のモンスターを転移させるのであれば、魔法なら魔力残渣があるはずだ。


ならばスキルか?

だがスキルだとすればリスクなしでここまで大きな転移ができるものなのか?


いや、必ず何らかの制約があるはずだ。

これだけの規模だ、命や魔力、それ相応の物を必要としたはずだ。


空間が歪んで、全てのモンスターが現れた。

空間ごと入れ替えたみたいな感じだったな‥


そうそう連続で使用できるようなスキルではなさそうだが、これを数回されたら神聖国の負けは確実だろう‥


俺たちがいくら頑張った所で、数万相手のモンスターとなれば敗戦は必至だろう。


今回出現した数でもかなり厳しいと思うが‥


今まで出会った魔族に比べ、少し小柄な魔族がモンスターたちの先頭に立っている。


そして魔族が手を上げ、モンスターを見回して‥


突撃の合図をだ‥




その時、突然モンスターたちの集団の中から爆炎が上がる。


そして更にモンスターたちの上空に槍が飛来している。


着弾すると同時に爆炎がまた上がった。


あれは‥


エルエス兄さんのドッカン槍君か!



突然の爆発にモンスターたちに混乱が見える。


絶望に染まっていた神聖国の兵たちの顔に驚きの表情が浮かぶ。


そして味方陣地から飛ぶ槍を見て、顔が驚きから歓喜に変わっていく。


「神聖国の兵よ!モンスターを恐る必要はない!我らはモンスターと魔族を相手するためにここへ来た!我らと共に勝利を掴むぞ!」


さすがエルエス兄さんだ。


士気が下がる直前に兵に希望を与えた。

今回は正直数が数だ。


神聖国の兵とも協力しないと勝てないだろう‥

士気の下がった神聖国の兵では満足に戦えないだろうからな。


「よしっ!『ガルベルト』!対魔族隊を除いてモンスターを相手するよっ!」


「『アウローラ』も行くぞ!対魔族隊以外は木偶爆弾をありったけ待て!『羽根人形』を装着してモンスターに落としまくれ!」


スネタさんとクワイスもここが正念場とわかっているようだ。


各隊員に指示を出してモンスター討伐に動き出した。





しかしこのモンスターの集団、どこかおかしい気がする‥‥




そういえば大型のモンスターがいない‥

オークやゴブリン、ウルフ系のモンスターやその他小型から中型までのモンスターが山ほどいるが、その中に大型のモンスターが見当たらない。


この中にドラゴンやサイクロプスなど大型のモンスターがいたら、戦況はもっと悪くなかったかもしれないな‥


大型のモンスターを連れて来てないのは何故だ?

こちら側に連れてくるのに代償が大きいからか?


まあどちらにしろこの数のモンスターだ、苦戦するのは間違いないけど大型のモンスターがどこにいるのか気になるな‥


大型のモンスターをまだ切り札としてとっているのか?

それとも大型のモンスターだけで、どこか別の所を攻めていたりするのだろうか‥?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る