第382話
「それがどうした?俺には仲間がいるし、この世界には勇者もいるんだ。『あのお方』とやらもそのうち倒されるだろ。もちろんお前みたいに俺や俺の仲間に手を出すようなら俺が相手するけどな。お前みたいに用意周到にしてたとしても全部打ち破ってやるから問題ない。俺の仲間はドラゴンを単独で倒せる程の強さを持っているんだ。どっからでもかかってこい。」
俺は仲間を見渡してサントバルにそう告げる。
「ちっ。お前の脅える顔を見たかったがな‥残念だ‥」
サントバルはそのまま息を引き取った。
サントバルが鎧のように身体に纏っていた血が地面に吸い込まれるように消えていった‥
「おい。お前のとこの大将はうちの大将にやられたようだぞ。」
メンセンは剣を交えているダンバルにそう告げる。
「そうか。だがそれがどうした?今いい所なんだ。そんなことで俺がとまるか!」
ダンバルは手に持つ剣をメンセンに叩きつける。
ダンバルの実力はメンセンより上のようだった。
メンセンはかなりの手傷を負っているが、ダンバルにはまだ余裕があるようだった。
クワイスは数に勝る『カッカス』相手に『アウローラ』を率いて戦っている。
何とか持ち堪えているが、クワイスも数人に囲まれてメンセンの応援に行けずにいた。
「とりゃー!」
メンセンが焦りを感じていると‥
上から天使が降りてきた。
ダンバルにとっては悪魔なのだろうが。
「メンセン師団長!大丈夫ですか?後は自分に任せてください!」
他のパーティメンバーはボロボロになっていたが、1人元気だった氷竜を倒したアレカンドロが『アウローラ』の手伝いにやってきた。
「ア、アレカンドロ!」
「ほほう!氷竜を倒したやつかっ!面白い!相手にとって不足はないぞ!とことん死合おうではないかっ!」
ダンバルはそう言って狂喜を顔に浮かべてアレカンドロに迫る。
「そーれ!」
アレカンドロはその場で回転しながら大斧の腹をダンバルに向かって放つ。
「ふんっ!こんなもので俺を止めれると思うっ‥」
迫ってきた大斧の腹を剣で止めようとしたダンバルは‥
その勢いを全く殺す事が出来ずに吹っ飛んでいった。
森の草や小さな木ではダンバルの身体は止まらず、割と大きめの木をへし折りながら止まりその場に落ちた。
「えっ?」
メンセンは自分が苦戦していた相手を軽々と吹っ飛ばしたアレカンドロを驚愕の目で見る。
「ふん!随分と軽いな!遠慮せずに全力でくるがいい!」
ダンバルはその場でふらつきながら立ち上がる。
「全力で来いだと?面白い!‥‥‥さっきのが全力だったに決まってるだ‥‥‥ろ‥‥」
そしてそのままその場に突っ伏した。
「ん?もう終わりか?」
何故か少し残念そうな表情で倒れたダンバルを見るアレカンドロ。
「むう‥残念だがしょうがない!メンセン師団長!それでは自分はクワイス団長の応援に行きます!いっくぞー!覚悟しろ『カッカス』?共め!」
あれ?
アレカンドロって俺より少し強いくらいだったよな?
氷竜を倒した時からおかしいとは思っていたが、どうやらやはり人をやめたらしい。
「おう。いってらっしゃい。」
少し腰がひけた状態でアレカンドロを見送りながらメンセンはそう思った。
アレカンドロの参戦により『アウローラ』対『カッカス』の戦いにもすぐに決着がついた。
果敢にもアレカンドロに挑んだ数人の『カッカス』の団員が、大斧の腹でまるで紙飛行機のように飛ばされるのを見て投降したのだった。
俺は両腕につけている魔道具を外しながらアキーエたちのところに向かう。
「どうやらあっちも終わったようだな。」
「そうね。アレカンドロが最後に『アウローラ』で仕事をしたみたいね。」
戦いの場を見渡すと目が覚めたミミウ、一緒にいたキリーエ、満面の笑みを浮かべたアレカンドロが走り寄ってくるのが見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます