第383話
「マルコイ殿!自分やりましたっ!」
そう言いながら抱きついてくるアレカンドロ。
俺より身長が高いから頭を撫でてやるのに一苦労する。
「そうだな。パーティでの初陣だったけど大活躍だったな。よく頑張った。」
俺は少し背伸びをしながらアレカンドロの頭を撫でる。
「マルコイさん!ミミウも頑張ったですぅ!」
「おう!そうだな。みんなありがとう。キリーエもミミウを守ってくれて助かったよ。とてもそっちに手を回す余裕がなかったからな。」
「うちはあんなでっかいのと戦うなんて出来んからね。みんなのフォローができてよかったよ。」
キリーエはミミウを守りながら『カッカス』を牽制していた。
キリーエがいなかったら俺がミミウを守りながらサントバルと戦わなくてはいけなかったからな。
本当に助かった。
「マルコイさん。『カッカス』のメンバーはほぼ捕縛した。」
クワイスがメンセンと共に此方にやってきた。
「ああ。『カッカス』の団員も全員が全員サントバルや筋肉に心酔してついてきたわけじゃなかったんだろ?」
「確かにそうなんだが、ほとんどの団員は『カッカス』に入っている事をいいことに裏であくどい事をやっていたやつばかりだ。叩けばいくらでも埃がでるだろう。ほんの数名だけだよ解放しても問題なさそうなのは。」
評判よかったのは上辺だけか。
多分よほど悪い噂が流れないように情報を操っていたんだろうな。
その辺に関してはサントバルの手腕が余程よかったんだろう。
しかしよくそんな奴らが大人しく団員として活動してたな。
ダンバルがよっぽど怖かったのか、その環境が合ってたのかしらないが迷惑な話だ。
「その数名はどうするんだ?解放して終わりか?」
「いや、その数名も元『カッカス』だからな。念のために『アウローラ』で預かって問題ないかどうか俺が確認するつもりだ。うちも人数が減ってるからな。モンスター討伐とかに苦労しそうだから、そいつらを使って討伐依頼なんかやっていくつもりだ。」
確かにな。
今回の『カッカス』の件で『アウローラ』はかなりの人数が減っている。
モンスター討伐はもちろん、他の傭兵とかのいざこざにも苦労するだろう。
「そうだ。『アウローラ』は人数も減ったし、アレカンドロもいなくなるんだ。今後は大変になるだろ?だからホット商会から装備だったり俺が魔道具を提供するから、それで強化したらどうだ?」
「えっ?」
あからさまに怪訝そうな顔をするクワイス。
「ん?なんだ何か困る事でもあるのか?」
「マルコイさんの気持ちはありがたいんだけど、それは普通の魔道具かい?なんかとんでもない魔道具をくれそうで怖いんだけど?」
失敬な!
ちょっと人が飛んだり、大爆発を起こす小手だったりするだけじゃないか!
あとサントバルと戦って、振動する剣とか面白いから『アウローラ』で試してもらおうかなとか思っただけだ!
「ほら!その顔は絶対何かとんでもないもの渡そうとしてる顔じゃないか!いつもの眠そうな顔じゃなくて悪い顔してるし!」
まったく失礼なやつだ。
ちょっと人体実験をさせてもらおうと思っただけなのに‥
「まあそんな無茶苦茶な物は渡さないようにするよ。でも実際このままじゃ不味いと思うから多少の事は目を瞑って使ってくれよ。」
「‥‥‥‥わかったよ。実際そこまで考えてもらうのはありがたいからね。でもくれぐれも頼むから出来るだけでいいから普通寄りの魔道具にしてくれよ。そうしないとお偉いさんに聞かれた時に答える自信がないからさ。」
「わかったわかった。任せといてくれ。」
よしっ!
言質をとってやったぜ。
これで心置きなく『アウローラ』におもしろ魔道具を使ってもらうとしよう。
「それじゃあ帰るとするか!」
こうして俺たちは完全勝利でセイルズに帰るのだった‥
森とかめちゃくちゃになってるけどいいんだよね?
主にドラゴンのせいのはず。
アキーエも破壊してたけど‥
後でエルフさんとかに怒られませんように‥
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