第384話

セイルズに戻るとスキャンとライリーが待っていてくれた。


「マルコイさん!よかった無事に帰ってきたって事は『カッカス』との争いに決着がつい‥」


そこまで言ってスキャンは縄に縛られているダンバルが目に入ったようだ。


「そいつはもしかして『カッカス』の団長じゃないですか?」


「ああ。気絶したから捕まえてきた。」


するとスキャンは驚いた表情を見せる。


「さすがマルコイさんだ!敵の親玉を捕まえるなんて!期待通りの化け物っぷりだ!」


ふむ。

よーしスキャン君。

君とは一度膝を突き合わせて話す必要があるようだな。


「マルコイさん。それじゃあ俺たちはこのままダンバル達を衛兵に突き出してくる。セイルズの上の人には話を通してて、ダンバルたちの罪についても調べてもらっていた。まあ証拠がないのが多いけどな。だが今回俺達を襲った件については証拠もあるからきちんと牢屋に入れてもらうよ。」


確かに今までの事件なんかは証拠が見つかってないって言ってたもんな。

しかしポッサムさんと話した時にも感じたけど、この国の上の人はあきらかに国の政治にまで手を伸ばそうとしていたナイコビ商会と『カッカス』を敵視してたからな。

直接手を出すわけにはいかなかっただろうけど、今こうして利用価値がなくなったのであれば、たぶんここぞとばかりに罪を探すだろうし罪を作ってでも捕らえるだろうな。


おお、こわっ。


まあ国を乗っ取ろうとしてたんだ。

自業自得ってやつだな。


「わかった。それじゃ俺たちは家に戻るよ。流石に疲れたからな。」


俺やアキーエの怪我はキリーエが用意してくれたポーションで癒やしたけど、体力や魔力は戻っていない。

俺は怪我はエンチャントで大体治したし、魔力も供給したから割と元気なんだけど他のパーティメンバーはかなり疲れてるのがわかる。


みんな戦ってた時は元気だったけど、今はウトウトしてるしミミウなんて寝ながら歩いてたからな。


ミミウの新たな特技を発見したよ。


多分今食べ物を渡したら寝ながら歩いて食べ物を食べるっていう特技になるだろうけど‥


「わかった。そしたら明日よかったら、うちに来てくれないか?ささやかだけど祝勝会でもしたいからさ。」


うちもアレカンドロがパーティに入ったお祝いをしたかったけど、それは後日でもいいか。


ここでの問題も解決したから、そんなに長くはここに滞在しないだろう。

アレカンドロも最後に今まで育ってきた傭兵団の人たちと話す事ができるしな。


「わかった。それじゃ俺たちも何か料理でも持ってくるよ。」


「そんな気を使わなくていいよ。はっきり言ってマルコイさん達のおかげで『カッカス』を止める事が出来たんだ。お礼も兼ねてるんだから、うちが全て用意するよ。」


俺たちは俺たちの目的があって戦ったんだけどな。

でもそう言ってくれるのはありがたい。

ありがたいけど‥


「ありがとう。しかし悪いが料理を全てそっちで用意するとなると団員数の倍は用意しないといけなくなるぞ。」


「ん?多少は多めに用意するつもりだけど、何で倍も用意する必要があるんだ?」


「うちのパーティには身体の中が別の次元に繋がってるやつがいるんだ。あきらかに自分の身体の体積より多く食べるような超人が。だからそっちは普通に用意してくれたらいい。そっちが用意した料理が全てその娘が食べてなくなってしまったら困るだろうから持ってくるだけだよ。それにアレカンドロの件もあるしな。ホット商会から美味しい料理とお酒を持ってくるから期待しててくれ。」


クワイスは不思議そうな顔をしている。


「そ、そうか。それならお言葉に甘えるとするよ。それじゃあ明日夕方にでも来てくれたらいい。」


「わかった。それじゃあ。」


クワイスめ。

あの顔はまだ信じていないな。

明日大いに驚くがいい。



俺たちはクワイスたちと別れて家路につくのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る