第223話

前回の魔族との闘いで死にかけた後、今後は魔族とは極力関わらないようにしようと思っていた。


仲間を危険に晒したくなかったし、俺が相手しなくても高ランク冒険者だったり勇者が相手してくれるだろうと。


そう思うようになったのは自分が死にかけたというより仲間が、アキーエやミミウが死にそうになったのが1番のきっかけだった。


でも自分はもちろん仲間も昔よりずっと強くなり、高ランクの冒険者と肩を並べるようになった。


魔族が出た時に相手をしてくれるだろうと思っていた冒険者の立場に自分がなってしまった。


魔族が出た時に逃げるのも1つの手だとは思う。

しかし逃げられない状況だったら?


自分が戦わなければ仲間が死ぬような状況だったら?


俺が自分が死んでもいいと思って立ち向かったとしても、俺が死んだ後に仲間はどうなる?


だから考え色々と試した。


しかし強くなったといっても魔族には勝てるかわからない。


しかも魔族が前回戦った相手程度なら何とかなるが、それ以上の強さを持った魔族が現れた時は前回の二の舞になってしまうかもしれない。


だからあるスキルのために、闘技会の本戦まで時間がある時に様々な人からスキルを模倣した。


そのおかげで【予測変換】やエンチャント:雷、エンチャント:氷を得ることができた。

だがあくまでもそれらは俺が得たかったスキルの副産物的な物だった。


俺が得たかったスキル‥

それは持ってはいたが使えなかったスキルだった。

しかしスキルを模倣してスキル【模倣】のレベルを上げる事でそのスキルはついに解放された。





模倣スキル【勇者】




模倣したスキルではあるが少しでも魔族に対抗できたらとの思いで解放したスキルだった。


しかしそのスキルは模倣のスキルだけではなく、別の力も俺に与えてくれた。



もしかしたら目立ってしまうかもしれないが仲間の命を守るためだ。


もし問題になったら精一杯誤魔化そう!



俺はエンチャント:火風水土を発動する。


俺の身体の表面に薄い膜が張られる。


さて、準備は整った。

行きますか!




『エンチャント:光』




俺の身体の表面にある膜に光の粒子が現れる。



ガルヘアは俺を見て驚愕の表情を浮かべる。


「な、何だお前!それは勇者しか扱えない光の属性のはずだぞ!何故お前が使えるのだ!」


「さてな。お前も秘密をたくさん持ってるんだ。俺に秘密の1つや2つあってもいいだろう?それじゃ覚悟してもらうぜ。」


俺の身体能力は模倣スキル【勇者】で同程度まで高められた。

前回の時のように力が漲るわけではない。

おそらくガルヘアと俺の力がそれほど変わらなかったからだろう。


俺はガルヘアに向けて駆け出す。


ガルヘアは慌てて俺に向かい魔法を放つ。


魔法の軌道は【予測変換】によって躱す事ができる。


今回はかなり使用しているので、頭の痛みがかなり強いがそんな事を言ってる暇はない。


俺は魔法を躱しながらガルヘアの目前に迫る。


そして上段から剣撃を放つ。


魔族に戻った事により防御力の上がったはずのガルヘアの身体は、俺の放った剣により斬り裂かれた‥

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