第269話
その日の夜は約束通りバーントさんと飲む事にした。
夕方出かける時に両手いっぱいにお土産を持ったミミウとすれ違った。
西方広場に行ってきたんだろうが、食べないで持って帰ってきたのかな?
「ミミウ。西方広場に行ってきたんだよな?凄い量のお土産持ってきたな。」
「あ、マルコイさん。流石に全部食べながら回るのは無理でしたぁ。だから食べる時間がなかったのは買ってきましたぁ!」
なっ!
西方広場にいくつ店があると思ってるんだ?
流石に冗談が過ぎるぜ。
「全部って食べてみたかったやつとかか?」
「はい!同じ物も売ってあったので、とりあえず
美味しそうな店だけにしましたぁ。」
いや、それでも100くらい店あるんじゃないか?
「な、何店舗くらいまわったの?」
「ん〜わからないですぅ。たくさんですっ!」
うん。
とても可愛い、いい笑顔だ。
なんだろう‥
旅してて、お腹空いてもすぐに食べれたりしない反動だろうか?
ミミウらしくてよかったです‥
ミミウと別れて冒険者ギルドに行く。
バーントさんと合流して、それからバーントさんが最近できたおすすめの店に連れて行ってくれた。
最近できたおすすめの店ってだけで何となく予想はついたが、やはりホット商会の店だった。
王都に出ている店の名前は普通だったからよかったが‥
「バーントのおっさん最近の王都はどんな感じだ?街道通ってきだけど、モンスターの数がかなり多かったぞ。」
「そうだな。今日お前がギルドに来た時、冒険者が少なかっただろう?」
そう言えば少なかったな。
昼前くらいだったからそんな物だと思っていたが‥
「最近冒険者は増えていて朝は大盛況だ。もちろん俺の受付もな。だから朝依頼を受けてほとんどの冒険者がいなくなる。そのほとんどが討伐依頼だ。」
「そうか‥それだけモンスターが多くなってるんだな。まあおっさんの受付が多いのは嘘だろうけど‥」
「見てたの?ねえ見てたの?おじさんのとこにも忙しい時には何人か流れてくるんだよ!」
「間違ってな。」
「間違ってないからね!」
間違えてないなら目が悪いのだろう‥
異世界の使いやすい眼鏡とか作ったら売れるかな?
「モンスター討伐は金になるからな。そのおかげで若いやつから仕事に失敗したような様々な奴が冒険者登録するようになった。でもな‥同じくして冒険者ランクが低いやつの死亡率が一気に上がったよ。」
確かにそうなるだろうな。
一攫千金を夢見ても実力がともわなければ死ぬ事になる。
「みんなお前みたいにさっさと強くなってくれるといいんだが‥」
失礼なやつだな。
俺だって努力したんだぞ。
「やっぱり魔王の影響か?」
「そうだな‥その線が濃厚みたいだな。早いとこ勇者達が魔王を討伐してくれるといいんだが‥」
「そういえば今勇者たちは何をしてるんだ?」
「勇者達かぁ‥勇者達は今遺跡巡りしてるよ。」
ん?
観光かね?
「勇者達は神聖国の命令だろうけど、魔道具探しをしてらっしゃるみたいだ。」
「はあ?なんだそりゃ?」
「神聖国曰く、今の勇者達の力では魔王に勝てないと。だから遺跡に入ってから強くなるために訓練を続けるそうで各国の遺跡を巡っているそうだ。ついでに見つけた魔道具は魔王討伐に役に立つからと根こそぎ持っていってるみたいだぞ。」
神聖国はどんだけ面の皮が厚いのやら‥
「まあ流石に帝国あたりは腹を立てて魔王討伐をしろっ!って言ってる。だが神聖国が聞き入れないから近々帝国と神聖国で戦争が始まるんじゃないかって言われてるぞ。」
「なんだそりゃ。どこまで身勝手なんだよ、神聖国は?」
「そうだが、実際魔王を倒せるのは勇者達しかいないからな。どの国も言う事を聞くしかないのが現状だ。帝国もおそらく戦争を始めたとしても戦争自体は勝つ気はないんだろうな。」
神聖国‥
相変わらず腐ってるな‥
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