第409話

その後の船旅はオマールさんへの口止めが上手くいったおかげで、順調な航海だった。


船は無事にエルフェノス王国に着くことができた。

まあオクトパスが出たりしたので平穏無事ってわけでもなかったけどな。


エルフェノス王国の最北端の街アースン。


ロンギルに行く時は急ぎだった事もあり、一泊して次の日には船に乗りセイルズに渡った。


今回は帰りなので、多少ゆっくりできるので観光がてら数日滞在する事にした。


まあキリーエさんがこの街でイカとかタコとか買う手配をしてたので、それをどう調理して売り出すのか等の時間を少し欲しいってのが1番の理由だが。


あと港町と言う事もあり、海鮮丼にも力を入れるようで、海鮮丼の上に散らす海苔もセイルズから持ってきている。


セイルズでの海苔の養殖は上手くいってるようで、帰る時には試作品ができていた。


味も今まで食べた海藻ではなく、パリッとした食感で磯の香りが口の中に広がる、とても良質な物に仕上がっていた。


セイルズの海苔を散らしたアースンの海鮮丼。

めちゃくちゃ美味しかったです。


あとタコはもちろんタコ焼きにするそうだ。


イカは一夜干しとイカ焼きだそうで、キリーエは「今まで見た目が気持ち悪いって理由で食べんかった食材がこんなに美味しいとは思わんやろな。買う人の驚く顔が今から浮かぶわ!」とか悪そうな顔で言っていました‥


とりあえずキリーエはアースンの街でホット商会の新たな店舗を出すそうで、構想を練っている。


「ミミウは新しく出す料理を一度に食べれたら嬉しいですぅ‥」


なるほど。


異世界の複合施設?

それともフードパークみたいな感じかな?

武具屋や道具屋とかも出店してショッピングモールみたいにしても面白そうだな。


「なるほど!それじゃあ、そのショッピングモールとやらを作ってみたら面白そうやね。ホット商会で取り扱っているお店の仮店舗を作って、そこに来れば全てが揃うみたいなイメージなんやね!」


あ、あれ?

俺口に出してたっけ‥


一人で考えてた気がするんだけど‥


ま、まさかね。

俺が考えている事に気づくだけじゃなくて、俺の思考を読んだりとかしてないよね‥


うん。

俺が気づかないうちに口から言葉として出てたんだよな‥

出してたんだと思いたい‥



でも口に出してたにしても、ものすごく小声だったと思うんだけどな‥


お、お金のかかった事に対するキリーエの能力は本当に神がかっているなぁ‥


「そ、そうだよ。大きな空間に様々な店を出す。食品を扱う店だったら、何店舗あってもいいと思う。だってミミウが言ったように、そこで色々な料理を食べれるなら皆んな此処に来るだろ?そしたらついでに他の店も見て回るかもしれない。そしたら相乗効果で他の店の売り上げも上がると思うぞ。いつも武器屋は武器屋、道具屋は道具屋で集まってるから、それぞれの店に行くのも大変だからな。」


「そうね!それなら思い切って、ホット商会だけやなくて、いろいろな商会に声をかけたら面白そうや!お互いが刺激になるし、他所の店を見る事で店の接遇やサービスまで見直すことになる!さすがマルコイさんや。着眼点がすごいね。それじゃあしばらくここに滞在してもええかな?」


そうだな‥

特に急いで獣人国に戻る必要もないしな。


「別に構わないぞ。どれくらい滞在する事になりそうだ?」


「そうやね‥ホット商会は場所と幾つかの店の提供だけでええけど、他の商会にも声をかけるなら2週間くらいはかかるかな。あらかたの出店する店舗の確保したら、後は任せても構わんと思うから。」


2週間か‥


まあ俺は魔道具作製とか、色々とする事があるから別に構わないけど‥


「ミミウは食べ物屋さん巡りするですぅ!」


「わたしは本屋巡りしたり、キリーエの手伝いするわ。」


「自分は‥討伐依頼を受けてきます!」


みんな特に問題はないみたいだな。


それじゃあしばらくアースンに滞在するための宿を探すとするか。

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