第540話
アースンの街に着いた。
まあ今回は船で来たわけじゃなくて、アースンのショッピングモールにある転移部屋に転移で移動してきたんだけどね。
さてと、勇者たちはどこにいるかな？
「いや〜、自由っていいわね！好きな時に好きな物を食べられる！それだけで人って感じがするわぁ！でもお金がないから、食べたい物を食べれないってのも自由だわ！涙が出そうだけど！」
あ、うるさいやつ発見。
「お金がないのはしょうがなくね？誰かさんが逃げるのに夢中でお金持ってくるの忘れたのが悪いんじゃね？とりあえず腹の足しに非常食でも食べるしかなくね？」
「悪かったわね！確かにあたしが預かってたけど、机の上に忘れてるって言ってくれたらいいじゃない！」
「俺言ったっぽくね？」
「逃げてる途中に言ったところで意味ないでしょうが！あのドラゴン騒ぎの時に取りに戻るとか無理でしょうが！」
「ふーん、非常食ね。異世界の非常食か‥非常に興味深い‥」
「卓‥非常食ってもガチガチのパンだぞ。お湯でふやかさないと食べれる硬さじゃねーし。」
「いいじゃないか！それこそ異世界って感じだ！」
相変わらず騒がしいやつらだな。
ほっとく訳にもいかないけど、今声をかけるのは恥ずかしい気がする‥
みんな見てるし。
「あ！マルコイさんみっけー！」
やばっ。
正人に見つかった。
思わず隠れてしまう。
「マルコイ！？どこ？どこにいるのよ！」
「あやめが怖くて隠れてんじゃん。」
んー‥
間違いではないが、あやめが怖いというか、あやめのせいで羞恥の目に晒されるのが怖いのだ。
「あっ！いた！なんで隠れるのよマルコイ！」
バレてしまったか‥
「お前らがうるさいからだよ。少しは静かにできないのか？」
「あたしから元気をとったら何が残るのよ！これがあたしの持ち味でしょ！」
いや、元気は取らなくていいから声の大きさとテンションの高さをとってくれ。
「しかし元気そうでなによりだ。どうだった？何事もなく国を出る事ができたか？」
「元気は元気よ！元気だけが有り余ってるわ。財布の中はすっからかんだけど！」
それは知らん。
「ありがとうございますマルコイさん。マルコイさんのお陰で、みんな無事に神聖国から出る事ができました。あやめちゃんも今は元気だけど、教会にいた時は震えてたんですよ。」
「ちょ、恵！そんな事言わなくていいの！」
恵の性格から嘘はつかないと思っていたけど、それは嘘だな。
あやめがそんな普通の女の子みたいな反応をする訳がない。
おそらく武者震いだろう。
何を倒すつもりだったのか、後で聞いてみなくては。
「ここにしばらく滞在して食を堪能してもいいけど、セイルズでお前たちのために宴会の準備をしてるんだがどうする？」
「そんなのすぐにセイルズに出発するに決まってるじゃない！ここで美味しいそうな物を持てるだけ買って、船で食べればいいもの！でもあたし達勇者なんだから、普通収納スキルとか持っててもいいんだけど、そんなスキル持ってないのよね‥残念でならないわ。だいたい異世界転移なのに、持ってるスキルが少なすぎるのよまったく‥」
ふむふむ。
それは残念だったね。
うっ、あやめがジト目でこっちを見ている。
「普通そんなスキルがあるんだなとか言うと思うんだけど、なんでマルコイはそんなに冷静に聞いてるのよ？もしかしてマルコイ、収納スキルとか持ってたりしないわよね？」
「あ？持ってるぞ。なんだったら買ったやつ入れてやってもいいぞ？」
「はい出たっ！マルコイチート！なんでマルコイがそんなたくさん転移者スキル持ってるのよ！マルコイの方が圧倒的にラノベの主人公じゃない！卑怯よ！少し分けなさいよ！」
分けれるか！
いや、譲与結合があるから分けれない事もないけど‥
ご遠慮させてもらいます。
「それじゃあ買う物買って出発するか。」
俺がそう言うと各々買い物に行った。
俺に借金して‥
ちゃんと返せよ。
俺もお金ないんだから‥
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