第541話

正人は卓の側についてると言う事で、あやめと恵が2人で買い物に行った。


「卓どうした?身体が震えてるじゃんか?気分でも悪いのか?」


ん?

なんだ洗脳の後遺症でもあるのか?


「だ、だいじょうぶだよ正人さん。」


賢者の記憶はまだ戻っていないようで、他人行儀に呼ばれた正人が少し悲しそうな顔をしている。


「マ、マ、マルコイさん‥あ、あとでスキル使うところを‥‥‥み、見せてもらってもいいですか?」


賢者が息も絶え絶えでそう言ってくる。


「卓!大丈夫なのか?お前死にかけてんじゃん!?」


「だ、大丈夫だよ。ただマルコイさんに近づくと動悸と息切れが‥」


ふむ。

洗脳の後遺症だな!

なんて非道な事をしていたんだ、あの愚王め!


賢者のためにも愚王を倒してよかったよ。


そう愚王のせいなのだ。

決して俺が使った光属性の治療のせいじゃないからな。


恨むなら愚王を恨んでもらっていいと思います。





あやめたちが大量の食べ物を買い込んできた。


それを『スペース』の中に入れていく。


横で賢者が「ふおぉぉぉ!」とか言っているけどスルーしとこう。


腰が引けてるし、話しかけたら発作が出そうだ。


「それじゃあセイルズに向かうぞ。」


俺たちはアースンの船着場に行ってセイルズ行きの船に乗る。


も、もう資金がカツカツだ。


キリーエにお小遣いもらってくればよかった‥





船に揺られてセイルズに向かう。


「マルコイ!マルコイに会ったら聞こうと思ってたんだけど、神聖国に現れたドラゴンって何なの?マルコイのお友達?」


「なんで俺にドラゴンの友達がいると思うんだよ‥」


「いや、マルコイなら何でもありだから、モンスターと意思疎通できるスキルがあって、神聖国を攻撃してきてくれとか頼んだのかなって‥」


流石にモンスターと会話はできないぞ‥

いや、あのドラゴンとは話をしたな。

今度また話しに行ってみよう。


「あれは俺だよ。」


「は!?マルコイってドラゴンに変身できるの?変化スキルとかまで持ってるわけ!?」


「いやお前も見ただろ俺がスライムになってるの。あれと同じだよ。俺の意識をドラゴンに移しただけだ。」


「えっ‥いや、スライムとドラゴンじゃ全然同じじゃないわよ。何を言ってるのか意味がわからないんだけど‥?」


「いや、意識を移すってのは一緒だろ?」


「はぁ‥‥マルコイチートここに極まるってとこね‥そう言えばダンジョンも作ってたもんね。本当になんでもありよねマルコイって。」


「そうは言っても、俺もコツコツ強くなったんだぞ。」


「そうなの?てっきりマルコイは最初からそんなだと思ってた。」


お前は俺をなんだと思ってるんだ。


「お前たちと最初に会った時はまだ冒険者始めたばかりだったし、スキルもそんなに持ってなかったしな。」


「え?マルコイってスキル増えるの?なにそれ反則じゃない?」


やべ。

口が滑った。

まあいいか。

これからこいつらと一緒に魔王退治する事になるだろうし。


「まあその辺はおいおいな。」


「はーい。」


「ふむふむ。なるほど‥さすがチートだ‥」


何か賢者が言ってる。

お前はキリーエか。


「うっ!がはっ!」


俺と目が合ったら倒れた。


「お、おい!卓ーーーー!」


もうわかったっての‥





船に乗っていると、モンスターも現れないので、ぼーっと海を眺める。


モンスターが現れないといっても船より大きなモンスターは襲ってくるけどね。


そういえばクラーケンもこの海で取れたな。

だから宴会のために、何か珍しい食材でも現れないかなぁとか思っていた。


すると‥


「な、なんだあれは!あの触覚‥もしやあれは伝説の海の帝王グレートロブスターじゃないのか!?」


おお!

でっかいエビが現れた!


海のモンスターはあれかね?

食欲があったら出てくるのかね?


「な、なにあれ?あんな大きな伊勢海老が出るなんて‥あんなのどうやって倒せばいいの?」


う〜ん。

確かに大きい。

俺が壊した大神殿くらいあるんじゃないだろうか‥?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る