第542話
「この船で逃げれるの?向こうの方が速そうだけど?」
逃げる?
何を言ってるのかね?
「ありゃやべー!一撃でも受けたら船が木っ端微塵になりそうじゃんか!どうにかして逃げねーとやべーぞ!」
だからせっかくの食材を前に何故逃げる話をしてるのかな?
「いやいや、せっかくあんな素晴らしい食材が出たんだ。何故逃げるんだ?」
「えっ!?」
何故か勇者たちが俺を見る。
賢者はガクブルしている。
「マ、マルコイ‥それ本気で言ってるの?」
「当たり前だろ。イカとタコは取ったけど、今回はエビだぞ。どうやって食べる?エビフライ?エビマヨ?ミミウが喜びそうだなぁ!」
「えっと‥‥イカとタコは倒したの‥?」
「ん?ああ。イカはなんだっけ?クラーケンだったかな?臭みがなくてとても美味しかったぞ。まだ『スペース』の中に入ってるけど、あれはミミウのだから勝手に食べるわけにはいかないからな。でもよかったなお前ら。宴会がより一層豪華になるぞ!」
「えぇ‥」
「ん?心配するな。あれも多分美味しいぞ!」
陸のモンスターは知らないけど、海のモンスターは美味いんだぞ。
陸も地竜が美味しいけどな。
「いや、美味しさは心配してないよ‥」
じゃあ何が心配なんだ?
「それじゃあちょっと待ってろ。エビ取ってくるから。」
俺は【時空魔法】で空に階段を作る。
ん〜‥
上から木偶爆弾落としたら終わるけど、それだと食べるところが吹っ飛ぶからな‥
頭を吹き飛ばしたら‥
エビミソが勿体ないか。
よし。
俺は『スペース』からゴーレムを取り出す。
スキャンに渡したゴーレムの兄弟機だ。
性能は変わらないけど、これは爆弾系の装備は少なくて、近接攻撃寄りになってる。
今回は捕獲必須になるので捕獲用の装備を『スペース』から取り出す。
鉄製の直径30センチはある筒に持ち手が付いている。
片方は穴が開いているが、もう片方は閉じているが、そこには魔力回路を張り付けている。
そして筒の側面には縦に細長い穴が空いている。
そこに通る長さの鉄杭の束を通す。
そして持ち手に魔力を通すと‥
魔力回路で溜め込んでいる圧縮した空気を使って杭を撃ち出すのだ。
魔力爆発とは違い空気を圧縮するので、俺の魔力を大量に流せば連続で撃ち放題。
まあ人より魔力量が多い俺専用の武器みたいな物だな。
題して、穴が開くのはしょうがない。いっぱい杭を撃ちつけて動かなくしてしまおう!だ。
俺は捕獲用ゴーレムのほかっ君に武器を持たせる。
かなりのサイズなので肩に担ぎ上げる。
いっくぞー!
グレートロブスターが前脚を上げて振り下ろしてきた。
近接戦闘用に作り上げた、ほかっ君は背中にバックパックのような物を背負っている。
それに魔力を流すと、任意の方向から風を送り出す事が出来る。
その事で何が出来るかと言うと‥
前進していた、ほかっ君の身体が突然横にズレてグレートロブスターの前脚を躱す。
このように回避動作をしなくても、風の力で身体を動かして相手の攻撃を躱せるのだ!
そのままグレートロブスターに近づき、武器を体にくっつける。
そして魔力を流すと、大きな衝撃と炸裂音がして杭が飛び出す。
杭はグレートロブスターの身体を貫いた!
身悶えするグレートロブスター。
数本同じように杭を撃ち込む。
するとグレートロブスターは追い詰められて、逃げ出そうと海の中に潜ろうとしている。
俺は『スペース』から紐を取り出して、グレートロブスターに刺さっている杭に結びつける。
俺のスキルで作った特注の紐だからな。
そこら辺の紐と違ってそうそう千切れることはない。
グレートロブスターが逃げ出さないように、紐を持ち引き上げる。
必死にグレートロブスターは逃げようとしていたが、身体が動かない事に気づき、諦めて此方を攻撃してきた。
それを躱しつつ、また数本杭を撃ち込むと、グレートロブスターは徐々に動かなくなった。
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