第543話

俺は動かなくなったグレートロブスターを『スペース』の中に入れる。


そしてゴーレムから降りて同じようにゴーレムを『スペース』に収納する。


そして空中に作った足場を使い、勇者たちの元に戻る。


船に戻ると、勇者たちがポカンと口を開けたまま迎え入れてくれた。


そんなに口を開けてると虫が入るぞ。

それに恵まで一緒になって‥淑女が台無しだぞ。


「どうした?口閉じないと、虫とか鳥のフンが入るぞ?」


「ど、ど、ど、どうしたじゃないわよ!何よあれ!?」


ん?


何よあれとは‥?


「何って何が?」


「あのマルコイが乗ってたのもそうだけど、宙に浮いてるわ、大砲みたいの持ってるわ、ツッコミどころ満載よっ!確かにあんな物持ってるなら、あのサイズのモンスターに驚かないのもわかるけど!」


「いや、別にゴーレム使わなくてもよかったんだけど、なるべく食べるところを残して倒したかったからな。」


「え?それじゃあ別の方法だったら、もっと簡単に倒せたの‥?」


「そうだな。木偶爆弾を2、3個落としたら終わってたと思うけど、それじゃあ食べれるところまで破壊してしまうからな。」


「そ、そんな事気にしてたんだ‥」


「そうだぞ。お前食べれるところまで破壊してしまった時のミミウの悲しそうな顔見てられないからな。世界の終わりかってくらいの表情になるんだからなっ!」


「そ、そうなんだ。それは知らないけど、色々と頑張ってるのね。」


「ふおぉぉぉー!搭乗型のロボットだと?す、素晴らしい!しかもネイルガンに近い物まで装備しているなんてっ!」


おお!?


賢者が興奮しとる。

そうかね、君もほかっ君の素晴らしさがわかるかね。


「君は見込みがあるようだね。是非俺の魔道具を使った実験をしてみないか?」


俺は興奮している賢者の背後から肩を叩き、そう告げる。


「ふおぉぉぉぉー!是非お願いしま‥がはっ!」


賢者が膝から崩れ落ちた。


「卓!卓ぅぅぅー!」


もういいっちゅうねん。





「でも海老かぁ。でもそれで一体何を作るわけ?この世界じゃ料理も調味料もあまり進んでないんじゃないの?」


タルタルバーガーを食べながら何をぬかしてるんだコイツは?


「お前が食べてるタルタルバーガーもお前たちがアースンで山盛り買っていた料理の事も忘れたのか?あれほとんど俺の仲間がやっているホット商会で出してるメニューだぞ。最近はモッツァレラチーズやらドライイーストやら作ってたから、ますます出来る料理が増えてるぞ。それとお金はちゃんと返せよ。」


「それじゃあお米もお味噌汁なんかもあるの?」


借金の事はさらっと流したなコイツ。


「お米はあるぞ。味噌汁も頑張ればいけると思うけどな。ホットモールで見てきたろ。セイルズでの宴会は新しい料理なんかも沢山ある。お前らが元の世界で食べてた物もだ。だから楽しみにしてろ。」


「本当に!やったー!恵もよかったわね!恵は元の世界では色々料理を作ってたからさ。こっちでは何も出来なくて残念そうだったから。」


そのおかげで俺がさまざまな料理を作る事ができてるんだけどな。


「それじゃあその知識をキリーエって言う俺の仲間に話してもらっていいか?多分かなりの再現度で作ってくれると思うからさ。」


「はい。私でお役に立てるのなら頑張ります。」


ふっふっふ。

やはり恵が料理が得意だったわけだな。


そしてこれが1番大事だが、ミミウの料理番を少し担ってもらえるかもしれない。

貴重な人材だ。

確保してきて正解だ。


「それじゃあ恵。お前の知っている海老を使った料理を教えてもらってもいいか?あまり難しくないやつでいいぞ。」


「そうですね‥あれだけ大きい海老ならお刺身で食べたいですね。あとはエビグラタンとか、エビのかき揚げ、海老真薯とか。」


「まだ少し時間がある。色々教えてくれると助かる。」


「はい!」




恵に色々な料理を教えてもらっていると、大陸が見えてきた。


ようやく勇者を連れてセイルズに戻って来れたな。

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