第746話

「それでそれで!一体どんな魔道具なんですか!?ゴーレムですか?人形ですか?爆弾ですか!?」


「い、いや、なんですかそのゴーレムって‥そんな物を作れるほど魔道具は万能じゃありませんよ。」


え?

そうなの‥?


「ですが、マルコイさんが言われた爆弾というのは近いかもしれません。『ネマニの槍』は魔力を込めて槍を放つ魔道具です。」


魔力を込めて放つ槍?


エルエス兄さんに渡したドッカン槍みたいなやつかな?


「そしてその槍の最大の特徴は、放つ槍の属性を選ぶ事ができるんです。」


「属性を選ぶ?」


「はい。魔力を込める時に属性を選ぶ事で、その属性の魔法の槍を作成します。魔法スキルを持っていない人が魔力を込めても、火属性の槍を放つ事ができるというわけです。」


なるほど。

でもその程度か‥


「後はそれを我がトールルズで開発した専用の火薬を使って発射するのです。」


お!

それは大砲ってやつじゃないですか?


「その威力はプリカを長年護ってきた、この街の城壁を一撃で壊せるほどの威力です。」


あ‥

この間アキーエが壊してたやつですね‥


「それに魔力を込め続ければ連続で放つ事が出来ます。ただ途中で火薬を補充しないといけませんけどね。」


そりゃ凄い。

是非とも見せてもらえないかな‥

連射や属性付与の仕組みも知りたい。


‥‥‥今突然その魔道具が無くなったら、ワンチャンヨエクのせいにならないかな‥



しかし確かにこの街の城壁を壊せるほどの魔法を、連続で放てるような魔道具だ。

ヨエクが欲しくなるのはわかる。


「ヨエクの狙いはわかりました。だけどそれが王様の命とどう関係するんですか?」


ヨエクがこの国を手に入れて、軍事力を強化するためにネマニの槍を欲するのはわかるが、それが王様たちの生存に繋がるわけではない。

ネマニの槍が隠してあるならわかるが、その場所を国の将軍が知らないってのは不自然すぎる。


「それは『ネマニの槍』はあまりにも強力な魔道具のため別の魔道具により錠がかけられているんです。それこそ魔力を使える人であれば誰でも強力な魔道具を使える、そんな魔道具をそのままにしておくわけにはいきませんでしたから。」


な、なるほど‥

た、確かに強力な魔道具をそのままにしておくわけにはいかないよな。

うんうん、確かにそうだ。


俺の魔道具は俺が持ってるからいいんだよな‥

あ、秘密基地に置いている魔道具には何もしてないけどいいんだろうか‥?


この街の城壁なら全部壊せるような量の木偶爆弾をそのまま置いているような気がする‥

今度秘密基地の警護をもっと強化する事にしよう‥

秘密基地の中に自動迎撃する魔道具を作って、侵入者の足の小指を執拗に狙うとか。


うっ!

考えただけで、小指が痛くなってきた‥


「でもヨエクが王になったら同じ物が作れるんじゃないですか?それだったら今ある物にこだわる必要はないような気がするんですけど?」


「確かに似た物は作れるでしょう。しかし『ネマニの槍』には同じ物を作れない理由があるのです。」


レプリカを作れない?

そんな事があるのか?

どんな高価な物を使っていたとしても国の力を持って同じ物を作れないなんて事はないんじゃないのか?


「『ネマニの槍』はこの世界で唯一の光属性の攻撃を放てる魔道具なのです‥」


光属性?

それは珍しいな。


「へぇ〜。」


「い、いや、マルコイさん。へぇ〜って‥マルコイさん達は勇者と一緒にいるから光属性を放てる凄さが伝わりにくいのかもしれませんが、この世界で唯一、勇者以外の力で魔族を倒す事が可能な武器になるんです。」


あ、そうか。

俺はすぐに作れるからそこまで凄いと思わなかったけど、普通に考えたら物凄い魔道具だった。


「マルコイさんはまるで他に光属性の魔道具を知っているような感じですね‥?」


「そ、そんな事ないですよ!わぁーすごいなぁ!」


イェルンさんに白い目で見られてしまった‥


ふん。

アキーエから白い目で見られるのはいいけど、おじさんに白い目で見られても嬉しくないわい!








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