第747話
「なるほど。でも一度作る事が出来たのなら、同じように光属性を付加する事ができるんじゃないですか?」
「いえ、それが出来ないんです。実は『ネマニの槍』の光属性の魔力回路はヨエク将軍が持ってきたもので、トールルズではそれを複製する事が出来なかったんです。辛うじて光属性を付加する魔力回路にする事はできましたが、それ一つのみでした。なので光属性を有する『ネマニの槍』は王城にある一つだけになるのです。」
なるほど。
しかし気になる事があるな‥
「ヨエクはどこから、その光属性の魔力回路を持ってきたんですか?」
「それは商人から購入したと。過去の勇者が作った物との事でしたが、詳細までは教えてくれませんでした。」
過去の勇者が作った物ね‥
そんな物がたまたま残っていて、それがヨエクの手に渡った‥
あり得る事なのかもしれないが、あまりにも都合が良すぎる気がするな。
また何かが絡んでるのかもしれない。
「わかりました。それじゃあこれからの動きを考えましょう。とりあえず俺は今からヨエクをぶっ飛ばしてきますね。」
「いやダメですって!マルコイさん私の話聞いたました!?なんでそんな発想になるんですか!」
おお。
なかなか素早いツッコミですな。
好きです、そういうの。
「冗談ですよ。ヨエクだけじゃなくて、味方している貴族ごとぶっ飛ばせばいいんですよね?城でもぶっ壊しますか?」
「ダメー!私と王が帰れなくなるからダメーッ!」
うん。
なんだろう‥
姿形や喋り方も違うんだけど、なぜか王都のバーントのおっさんが重なるなぁ‥
「でもマルコイさん。冗談でも城をぶっ壊すなんて、そんな事無理ですよ‥ね‥‥?」
俺は真剣な顔でイェルンさんを見つめる。
「あ‥な、なるほど。こ、壊せるんですね‥そ、そうでしたか‥」
俺は無理かもしれないけど、アキーエとミミウがいれば廃墟とするのは容易いでしょう。
「しかしどうしましょうか?とりあえずイェルンさんだけでもここから抜け出しますか?イェルンさんと王様がコンタクトとる事が必須なんですよね?」
「え、ええ。それはそうですが‥この警備の中を気づかれずに抜け出す事は出来ないと思いますが‥」
え?
そうなの?
見つかってもよさそうな気がするんだけど‥
だってイェルンさんの家を巡回してるのはヨエクについた人だから、全員ぶっ飛ばしてもいいと思うけど‥
「わかりました。そしたら陽動するので、その隙に逃げましょう。」
「そ、そんな危険な真似をマルコイさんにさせるわけにはいきません!」
「私に任せてください。私なら逃げ出すことは無理かもしれませんが、陽動の役目くらいはできますから。」
「何を言ってるんだクィリーノ!あなたはまだ王に必要な人です。こんな所で命を散らしてもらっては困ります!」
なんかやってるけど、別に俺が陽動するなんて一言もいってないんだけどな‥
俺は『スペース』から木偶人形たちを取り出す。
そうだな‥
100体くらいでいいか。
選りすぐりの奴でいこうかな。
上半身だけで風の魔力回路を使って動くやつだろ‥
あとは叫び声を上げる人形なんかもいいよな。
もちろんリルを恐怖に陥れる目的で作った人形も行ってもらおう。
対リル用にバージョンアップもしてるからなぁ‥
「マ、マルコイさん‥?そ、それは一体‥」
俺がいそいそと人形を出しているとイェルンが声をかけてきた。
「あれ?イェルンさんは俺のスキル見ましたよね?城で調理場出した時に。あれと一緒で作ったやつを保管してたんですよ。」
「た、確かにヨエク将軍と対峙していた時も出されていましたけど、こんなおどろおどろしい人形でしたか‥?」
「まあその辺は適材適所ってやつですよ。せっかく陽動するなら、目一杯混乱してもらおうかと思いまして。さて出撃だ!いってこーい!」
俺は部屋のドアを開けて人形たちを送り出す。
「クィリーノ‥もしかして隠れて逃げる必要ないんじゃないのだろうか‥?」
「ええ。私も同じ事を思っておりました‥」
ん?
そうなの?
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