第442話
「この街はすぐに立つのか?」
「そうね、ここに一泊してから神聖国に向かう予定。でも何日か泊まりたいわね。ガーノスさん許してくれないかしら?」
「もうあやめったら。神聖国が攻撃されてるから私達は帰ってくるように言われているのに、観光目的で1日延ばすなんてしてくれるはずないでしょ。」
「そうよね〜。あ〜あ、せっかくショッピングモールなんてこの世界で初めて見たのに、すぐに出なくちゃいけないなんてつまんないの!せっかく異世界転移したのに、自由に動き回る事も出来ないなんてさ!」
神聖国なんかに召喚されたの事自体、運がなかったといったところか。
「そうだな。今日しかないっていのうなら、せっかくだから飯くらい奢ってやるぞ。」
「まじで!?やったー!私達お使いさせられてるんだけど、お金なんてほとんど貰えないからさ。あんまり外食なんかも出来なかったの!あのさ、あのさ、ホットケーキ食べていい?あとタコ焼きと‥チキン南蛮!」
「そうだな‥チキン南蛮以外ならいいぞ。」
「何でチキン南蛮はダメなの‥?」
チキン南蛮は‥
「あ、あそこは新しい宗教があって勧誘されるぞ。お前たちは神聖国の人間だから、そういったのは拙いだろ。だからチキン南蛮以外にしておけ。」
「ふ〜ん‥確かに神聖国に所属してるけど、召喚されただけで、別に女神ウルスエートを信仰してるわけじゃないわ。だから布教されようが全然構わないんだけど?」
なるほど‥
もしタルタル教の事がバレても俺が布教してるわけじゃないからいいのかな?
とりあえずタルタル神が俺だって事だけバレなければいいのか?
「まあ別にチキン南蛮はいいわよ。他のを奢ってくれるんでしょ?」
「マルコイさんいいんですか?ご飯までいただいて?」
「別に構わないよ。知ってる人が今から戦いに行くんだ。俺はついていく事は出来ないから飯くらい奢らせてくれ。」
「ありがとうございます。」
「あざーっす!」
ついては行かないけど、後からお邪魔するかもしれないんだけどね‥
その後恵とあやめに食事を奢ってやった。
奢ったといってもホットモールにある商品だから、特にどこかに移動するわけでもなく、食品通りに戻り食べたい物を大量に買ってテーブルで食べただけだが。
あやめのやつ、忠告したのにチキン南蛮を自分のお金で買ってきやがった。
「奢ってくれない分は、自分で買えばいいでしょ?」みたいな事を言いやがった。
そして教典をもらってきてくすくす笑ってやがる。
流石に教典を読んで、人前で大きな声で笑うのは失礼だと思うくらいの常識はあるようだ‥
他にも奢ってもらう物を探しに行ったあやめが驚いた顔で戻ってきた。
「ねえねえ!なにかすごいタコ焼きがあるんだけど!?あれ何?あれって私達の世界にもなかったんだけど!」
「あ〜、あれは偶然出来た奇跡のタコ焼きだ。気にするな。」
「気にするなって言う方が無理でしょ!私の顔くらいあったんだけど!」
むう。
いちいち反応が大きいやつだ。
確かにあれはだれでも驚くとは思うけど‥
「それよりもさっき言ってた問題が起こったってどういう事だ?」
「ん?問題?」
「ああ。勇者4人でいたかったけど‥ってやつだ。」
「あ〜それね‥ちょっとね卓のやつがおかしくなっちゃって。徐々に態度が変わってきてさ、俺達は選ばれし人間だって。神に召喚された神の御使いだから、俺達はこの国を導いてやらなくてはいけないとかね‥ストレスとかでちょっとおかしくなったのかもしれないけど、一緒に他国をまわるのが怖くなって。多分高圧的な態度をとりそうだから。でも法皇からの命令でさ、他国には行かないといけなかったから、卓を置いて行く事になったんだけど正人は友達だから一緒にいるって。」
ストレスね‥
神聖国のお偉いさんの事だ。
洗脳なんかもしてるかもしれないな。
「そうか。それならこれを持っていけ。役に立つかもしれない。」
俺はポケットから腕輪を取り出す。
「これは洗脳されているかどうか、わかる魔道具だ。使えば洗脳されていれば赤く光る。洗脳自体を解除する事も出来るが、長時間装着しておく必要があるからな。それに装備しておけば、新たな洗脳は防げると思う。」
魔族が洗脳されているのを何度か見て、もしもの時の為に作った魔道具だ。
用心に越した事はないしな。
「ありがとうございますマルコイさん。これで卓さんも‥」
「そうだ、念のために4人分やっておく。お前たちもつけておいた方がいい。」
「こんな貴重な物を4つも?ありがとう。やっぱりお金持ちは違うわね。」
「気にするな。こんな事もあるかと思って、多めに作っておいたんだ。」
「はあ!?作った?」
あ、やべ。
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