第441話
「恵たちは今から神聖国に戻る予定なのか?」
「はい。法皇様が呼ばれているみたいなので。」
「なんでも帝国が攻めてきたから神聖国として国を護れってさ。まったく勝手よね!お前達は勇者だから、この世界を護るために他国をまわってアーティファクトをもらってこいって言ってさ。それで他国が怒ったら、神の名を軽んじる奴らに神の鉄槌をくだせだってさ。他国の事も、私達の事も馬鹿にしてるわよっ!」
そういえばスキャンがそんな事を言っていたな。
「それに帝国が攻めてきたと同時にモンスターも氾濫の傾向があるんだって。それで法皇は、帝国はモンスターを手懐けている!帝国は魔王の手先と成り下がった!なんて言ってるのよ。」
ふ〜ん‥
モンスターの氾濫かぁ‥
「マルコイ。あんたなんでニヤニヤしてるのよ‥」
おっと顔に出てしまっていたか。
いや、モンスターの氾濫があるなら、モンスター相手に魔道具の実験ができるなぁなんて‥
いかんいかん!
俺は神聖国には近づかないと決めたんだ!
‥‥‥でも『アウローラ』に活躍してもらって、俺はコソッとそれを見に行く程度なら何とかなるんじゃないかな‥?
決して俺が作った魔道具が活躍するか見たいんじゃない!
魔道具を使うなら調整とかする人も行かないといけないよなぁなんて‥
「どうしたのよマルコイ。なんか考え込んでるみたいだけど?」
「いや、そのモンスターの氾濫ってどれくらいの規模なのかと思ってさ。お前たちが戻って何とかなるレベルなのか?」
「そうね‥かなりの数みたいよ。でも私達かなり強くなったけど、それでもメインで戦うのは騎士団になるんじゃないかしら。私達は神輿みたいなもんだから。勇者がいるから、自分達は正しい事をしているんだって言いたいんじゃない?まったくそれもそれで勝手よ!私達を勝手に召喚して、自国の旗頭にするなんて!」
ふむふむ。
かなりの数かぁ‥
正直神聖国がどうなろうと知った事じゃないんだけど、モンスターの氾濫って世界平和の為には戦わなくてはいけない気がする‥
もし本当に帝国の裏に魔王がいるなら、魔王討伐の手助けにもなるよなぁ‥
うーん‥
悩ましい‥
神聖国には近寄らないで、戦闘が起こる場所だけに行けばいいかな。
終わったら転移で帰って来ればいいし。
とりあえずアキーエたちに相談してみるかな。
みんなにはアースンに待機してもらうか、先に獣人国に戻ってもらっててもいいし。
「そうか。気をつけてな。」
この2人には言わない方がいいだろうな。
恵はまだしも、あやめはアホっぽいからすぐ言いそうだし。
「なんか、今アンタ失礼な事考えたでしょ?」
ほう。
無駄に勘がいいようだな。
無駄に。
「そんな事ないぞ。まあお前たちが困ってる時には少しは手伝ってやろうくらいの思いはあるからな。」
「それなら甘いデザート作りなさいよ。アイスとかパフェとか。それがあるなら頑張れるから!」
アイスにパフェか‥
店で出している所なかったかな?
「わかった。でも神聖国には出店するつもりないから、違う国で食べるんだな。」
「わかってるわよ。それに神聖国にアイスやらパフェなんて似合わな過ぎて、店があったら逆に怪しんで入れないわよ。」
「そうなのか?」
「そうよ。神聖国の民は神に仕える僕なので、質素な暮らしが基本なの。まあお偉いさんは豪華な食事してるけどね。だから外食できる店自体ほとんどないわよ。それもものすっごく不満!」
なら神聖国に店を出したところで、来るのはお偉いさんばっかりって事か。
まあ出すつもりもないけど、余計に出したくないし近寄りたくない気持ちが強くなるな。
「マルコイさんは神聖国には近寄らないでくださいね。私達は元の世界に戻る為に、法皇様の言う事を聞くしかありませんけど‥」
言われなくても近寄る気はないんです。
でも恵たちが自分の世界に帰るためか‥
俺が力になってやれる事があればいいんだが‥
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