第440話
「そうだな‥俺は運が良かったんだろうな。王都から離れてすぐに、とても優秀な商人と仲間になる事が出来た。そのおかげでこうやって色々な物が作れてるってとこかな。」
「何それ！ズルい！私達なんて全然そんな機会に恵まれなかったわよ！せっかく異世界転移した時の為に、色んな事調べてたのに！武器の作り方から、銃や車なんかも調べたんだよ！普通私達転移した人が生産チート使えるのが定石じゃないの？」
いや、そんな事言われてもな。
それに生産チートってなんだ？
とゆーか、【異世界の知識】にあった様々な知識はあやめのだったのか。
「そんな事俺に言われてもな。だがそのおかげで故郷の料理を食べる事ができてるんだろ？良かったじゃないか？」
「そうね〜。確かにお米は嬉しかったわ！それにホットケーキも！この世界ってお決まりの硬いパンと塩っけのスープがメインじゃない。だから最近食生活が満たされてとても満足してるわ。できれば神聖国に帰りたくないもん。」
まあ神聖国にはホット商会は進出してないからな。
お国に戻ったら食べる事は出来ないだろうな。
「あと最近ホット商会？ってとこからおもちゃや楽器も出てるみたいだけど、あれもやっぱりアンタが関わってるわけ？」
「もうあやめちゃん！アンタって言わないの！」
「ごめんごめん恵。マルコイが関わってるわけ？」
「関わってるも何も、ホット商会が俺の仲間が作った商会だからな。このショッピングモールとかもその仲間が主となって作ったんだぞ。」
「うわっ！何それ！料理チートして生産チートしてお金もがっぽがっぽなんて、どこの勇者様よ？アンタが‥マルコイが実は異世界転移してきたんじゃないの？」
まあきっかけは勇者たちの【異世界の知識】ではあるな。
感謝はしている。
一応ね。
「お前たちのスキルが役に立ってるのは事実だな。だからお前たちが魔王と戦う時は、多少の支援はするつもりだぞ。だから頑張って魔王を倒してくれや。」
「くぅ！ムカつく！羨ましくてムカつく！」
わはは。
お前が頑張って覚えた知識は、今後も俺が有意義に使ってやろう。
「でもマルコイさん。いいんですか？支援なんてしてもらって。だって私達は王都でモンスターの氾濫があった時に‥」
そうだったな。
確か王都でモンスターの氾濫があった時に、恵たちは勇者と合流してから応援に駆けつけるって言ってたけど、結局来なかった。
俺はその氾濫で死にかけたし、仲間を失いそうになった。
でもそれは恵たち勇者が来なかった事よりも、俺が弱かったのが原因だ。
だから恵が気にする事ないんだけどな。
「まだそんな事気にしてたのか？お前たちは勇者だ。神聖国のな。だから自由が効かないのはわかってるし、どうせその時も何らかの命令があったんだろ？他国の戦いに参加するなとか？あの場でお前たちが戦いに参加するメリットが神聖国にはなかったからな。だから気にするな。」
「マルコイさん‥‥ありがとうございます‥」
「恵はね。あの後もの凄く気にしてたの。こっちの世界でせっかく知り合えた人達の事を裏切ってしまったって。何度も何度もガーノスさんに直訴してたけど、神聖国から呼び出しがあってるからって聞いてくれなかったんだ。1人でも行きそうだったんで、私達で止めたんだ。だから‥許してあげてね。」
許すも何も気にしてない。
それにあの氾濫がきっかけでもっと強くなりたいと再認識したしな。
「だから気にしてないって。だから恵が気にする事なんてない。だから泣くな。」
恵は手で顔を覆っていたけど、その手の間から涙が溢れていた。
「何かな〜‥恵と私に対する態度がやっぱり違う気がするんですけど？何か恵に優しくない？」
「あやめの相手は適当でいいかと。」
「なんぞそれっ！」
あっ、ついつい思っていた事が口から出てしまった。
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