第108話

ノギスの身体を覆う赤い光は、段々と光の強さを増してきている。

しかし綺麗な光と言うよりも禍々しい光といった感じだな。


連撃のスピードも上がっていく。

捌けはするが、まだ上がるのであれば他のエンチャントを使う必要があるかもしれない。


これ以上回転が上がる前に割り込む必要がある。

エンチャント:火を使用して一旦距離をとる。

と思ったら突然連撃がやんだ。


ふとノギスを見ると肩で息をしている‥


「な、なかなかやるじゃねーか‥」


いや、何もやってない。

疲れたのだろうが、戦いの途中に一旦待ったはないだろう。

しかし面白いので少し待ってみる。


「ふふふ。俺の調子が戻るのを待つとは愚かな。思い知るがいい!」


そしてまた連撃を始めた‥


「これはさっき見た。他はないのか?」


ノギスの剣を弾き、様子を見る。


「こ、このやろう!俺を本気で怒らせたなっ!」


いや怒らせるつもりはないのだが‥

純粋に好奇心ってやつのつもりだったけど。


ノギスの身体が蜃気楼のように歪む。

身体から発する赤い光がますます濃くなる。

それと同じく目が狂気を孕んでくる。


ん?スキル【狂戦士】はリスクがあるスキルなのか?

これは不味いな、早めにけりをつけるか。


俺はすぐにエンチャント:火と風を使用する。

ノギスの後ろに回り込み剣の腹を肩に振り下ろす。

肩に剣があたりノギスは地面に突っ伏す。


「ぐはっ!」


地面に突っ伏して俺を見上げるノギスの目には理性が戻っていた。


「くっくっく。まさかお前がここまで強いとはな。でも俺もこのまま負けるわけにはいかないんだよ。お前みたいなハーレム野郎にナーシスを渡す訳にはいかねーんだ!」





‥‥‥‥‥は?


何を言ってるんだコイツは?


誰がハーレム野郎なんだ?

お、おれか?

意味がわからない事を言って俺を動揺させる気なのか?

そ、そんな魂胆には乗らないぞ。


「はっ!お前の魂胆なんざ見え見えなんだ!ナーシスは俺が守る!」



ノギスはまた突っ込んできた。


ノギスの剣を受け止めるが勢いがよく、後ろに飛ばされる。


転がって膝をつく‥


「図星つかれて動揺したか?こんなもんじゃすまさねーぞ!」


俺を見下ろしてノギスが言う。



‥‥‥‥は?

俺の怒りが溢れ出るようだ‥


「ふ、ふざけるなっ!言いがかりも甚だしいわっ!」


これスキル【狂戦士】なら強さが振り切るわ。

よかったな俺がスキル【狂戦士】じゃなくて。


俺はまだ女性の手を握った事も数える程しかないのに、ハーレムだと?


「そ、そんな根も葉もない事で俺にいちゃもんつけてきたのか?」


「あ?見たらわかるだろうが!あんないい女ばっかりはべらせて、その上ナーシスまで粉つけやがって!」


いい女は認めるが、そんな関係ではない。

許さん。


「確かに俺の仲間はいい女ばかりだが、そんな関係じゃない!もう許さん!」


「そりゃこっちの台詞だ!もう切り札使ってでもお前をぶっ飛ばしてやるぜ!」


切り札?そんな事を言っていたな。

しかしそんな物ごとぶっ飛ばしてやる!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る