第225話
ガルヘアが握りつぶした眼球は赤い霧となりしばらく漂った後に消えた。
「お前は俺が死ねばこの国への侵攻は止まると思ってるか?そうだな、この国への侵攻は止まるかもしれんな。しかしこれからはお前が狙われるだろうな。たった今俺が見てきた物をあのお方に送らせてもらったからな。」
「お前はこれから魔族の襲撃に怯えるのだ!夜も眠れない日々を送るがいいっ!ひゃはっはっはぐがっ」
後ろからアキーエさんがガルヘアに火球を放ってた。
「うっさいわね!そんなものにマルコイが怯えるはずないでしょ!マルコイにはわたしたちがついてるんだから!ねっマルコイ!」
おおう!
死にかけたヤツに魔法をぶっ放すとはやるなアキーエさん!
かなりイライラしてたんだな‥
でもガルヘアのヤツに少し飲まれそうになっていた。
アキーエさんのおかげで少し腰がひけた状態になってしまったが、確かにその通りだ!
「残念だったな。俺にはこんなにも心強い仲間がいる。お前らが何を仕掛けてこようとも全部ぶっ潰してやる!」
「ひゃはは‥それじゃあ楽しみにしてるがいい。俺は少ししかあのお方に力を分けて貰えなかった‥もっともっと力を与えられた者がお前達の前に現れるぞ。楽しみだなぁ‥」
ガルヘアは醜悪な笑みを浮かべてこちらを見つめる‥
「せいぜい苦しむがいい。お前も仲間も、全ての種族が苦しんで死ぬがいい‥」
そう言い放つとガルヘアの身体はそのまま霧のように霧散した‥
なんて執念だ‥
魔族って全てこうなのか?
それともあのお方とやらに精神支配でもされてるのだろうか?
ところでもの凄い大きな火球を放とうとしているアキーエさん。
もうガルヘアはいないからどっか人のいないところに投げとって下さいね。
あっ、リュストゥングさんに放つのはやめなさい!
「ガルヘアが死んだようだ‥」
薄暗い部屋で豪華な椅子に座っている男が呟く。
すると傍に控えていた男がその呟きに答える。
「ガルヘアがですか‥相手はSランク冒険者でしょうか?支配が解けぬよう他種族に対する憎悪はしっかりと埋め込んでいたので油断などはしないと思っておりましたが‥申し訳ございません‥」
「いやSランクではないようだ。あやつの眼に映っていたのはまだ若い男だ。それに‥」
「それに‥何か気になる事があられますか?」
「光の力を持っているようだな。」
「なっ!勇者が獣人国にいたと言うことですか?」
「ふふ‥面白い。私の知っておる勇者とは戦い方が根本的に違う。勇者ではないのであろうな。」
椅子に座った男が楽しそうに笑みを浮かべる。
「勇者ではない者が勇者の力を持つか‥本当に面白い。もしかしたら女神の息がかかったやつかもしれぬな。」
「なるほど‥しかしガルヘアは配下衆の中でも最弱です。次はもっと強い者を仕向けます。」
「ふふふ‥好きにするがよい。女神め、まだ足掻こうとするか。もう貴様の出番は終わりだと言うのにな。まだ我が喉元に剣を届かせる事ができると思っておるのか?」
男はそう呟くと目を瞑り言葉を発する事をやめて笑みを深めるのだった‥
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