第226話
ガルヘアが塵となり消えた時にはすでに殆どの観客は逃げ出していた。
闘技会の中に残っているのは出場していた冒険者やその仲間たちくらいだ。
あと何故か1番に逃げないといけない王様も残っている‥
そういえばこの国の王様は獣人国で1番強い人って事らしいから逃げる必要なかったのかな?
「何とか勝てたわね。」
アキーエが此方に歩み寄りながらそう告げる。
ガントレットを外しながらアキーエは続ける。
「しかし怖いくらい他種族に対する恨みが強かったわね。何であんなに恨んでるのかしら。」
確かに異常なくらいだった。
もともと何故そんなに他種族に恨みがあるのだ?
住む場所を大陸の端にやられた恨みか?
それとも過去の勇者との戦いの恨みか?
両方ともわかりはするが、あれほどまでに恨むものなのかね?
それとも本当にあのお方とやらに精神支配でもされてるんじゃないのか?
「さあな。今考えてもわかるもんじゃないしな。」
「そうね。それにまた魔族とは会うかもしれないし、その時聞けばいいわね。」
「おいおい。できれば極力会いたくないんだけど‥」
できれば本当に勘弁願いたい。
俺とじゃなくて勇者と戦っていて欲しい‥
「そう言えばそうね。確かに何とかなるとは思うけど極力会いたくないわ。あれだけ強い魔族なんてそうそういないんだろうけど。」
魔王の背景がどうなってるかわけらないけど、魔王と同格みたいなのがいるかもしれないんだよな‥
その辺はイザベラさんとかに報告しよう。
「アキーエ。ターナカさんが言ってたけど、最初に当たった強いやつってのはその集団では最弱らしいぞ。たぶん今頃魔王様は『残念だったな。ヤツは四天王の中で最弱なのだ!』とか言ってるそうだ。」
「え?そうなの?あれで1番弱いの?」
「まあそうらしいが、今後俺たちが戦うとしたら、戦ったやつより少しずつ強いやつがでてくるから頑張れば倒せるらしいぞ。」
「なるほど。でもその通りなるのかしら?」
「バカだな。敵が変身する事も当たってたんだ。ターナカさんが言うオヤクソクは当たるから大丈夫だ。」
「なにそれ?」
俺たちがそんな話をしていると、ミミウとキリーエが近寄ってきた。
「マルコイさん、アキーエちゃん大丈夫?怪我はない?」
「キリーエ心配かけてすまないな。俺もアキーエも大した怪我はないよ。俺は痛みは結構あるけど、療養すれば治るレベルだしな。でもキリーエは避難してなかったのか?」
「そっか。そんならよかった。うちもパーティメンバーやから最後まで見届けるよ。それにミミウちゃんが守ってくれたしな。」
「はいですぅ。」
「そうか。ありがとうなキリーエもミミウも。」
すると金ピカの鎧を着た人が1人で近寄ってきた。
「マルコイ様。王が少し話を聞きたいとの事です。ご案内しますのでついて来てもらって宜しいでしょうか?」
俺はパーティの顔を見るが問題ないようだ。
「私だけですか?パーティの方がいいですか?」
「王より4人で来て欲しいとの事です。」
「わかりました。お願いします。」
やっぱりかぁ〜‥
さて‥
どうやって誤魔化そうかなぁ‥
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