第227話

「エッケンよ!騎士団長と隊長達を呼べ。ワシと近衛兵で魔族の討伐に出る!エッケンは団長らを連れて合流せい!」


突然現れた魔族により王族用の観覧席は慌しい動きとなっていた。


「レトリーよ。お主あの魔族どの程度と思う?」


レトリーと呼ばれた金色の鎧を着た男性が答える。


「そうですね。おそらく騎士団長や私と同格程度かと‥」


レトリーは長く伸ばした金髪に端正な顔立ちをしているが、その顔を多少顰めてそう王に告げる。


「そうか‥ならばワシとお主、それにリュストゥングもいるのであれば何とかなりそうだな。」


王がそう話している時に魔族が逃げ惑う観客に魔法を放った。


「むっ!いかん!すぐに回復できる衛兵を‥」


王が観客に被害が出る事を予想して、すぐに衛兵を手配しようとするが我が目を疑うような光景が起こった。


おそろしく大きな盾が突然現れて魔族の魔法を全て防いだのだ。


「はぁ?」


ゲリィ・オールバーグは一国の王としてはしてはいけないような顔をしている。

しかしゲリィの驚きはまだ続く。


魔族は闘技会で対戦していた若者に対して魔法を連発した。


その魔法を今度は若者の前に立った赤髪の女性が捌いて地面に誘導して爆発させている。


魔族が練り上げた高密度の魔力弾をだ。

おそらく騎士団長クラスの強さを誇る魔族の魔力弾をだ。


そしてゲリィの見ている前で更に驚きの光景は続く。


今度はなんと、魔族と相対していた青年が光属性と思われる攻撃を放ったのだ。


ゲリィは口がだらしなく開いているのにも気づかずその光景を食い入るように見ている。


そしてその事を指摘すべきまわりの人達も、その光景を同じように見ている。


本来は王の安全や周囲の警戒などをすべきレトリーでさえ魅入っている。


そしてその青年はゲリィの見ている前で魔族にトドメをさした‥





「レトリー‥エッケンを呼んでまいれ。そしてお前はあの青年達を連れてこい。4人パーティなので4人とも連れてこい。」



「はっ?失礼しました!すぐに行ってまいります。」



我を忘れて見入っていたレトリーは慌てて観覧席を出て行った。





ゲリィは思う‥

マルコイ‥

お主のお陰でワシ禿げそうだぞ‥






王様に呼ばれたので、みんなで移動しようとしたがある物が目に入った。


三角形をしたペンダントヘッドのようなもので、それはガルヘアが魔族に戻る際に使った壊れた魔道具のようだった。


もしかしたら何かわかるかもしれないな。


俺は魔道具を手にとり魔力回路を確認する。


壊れているためか魔力は通らないみたいだな。

しかしかなり大きな魔力回路だ。

これを作るとなると魔道具士のイレイスでも10年以上はかかるんじゃないだろうか‥


魔族の状況がわからないが、こんな物を量産する事はできないと思いたい。


とりあえず【アルケミストメーカー】を使用して魔力回路を引っぺがす。


改良してもいいし、繋げて他の魔道具として作製してもいいかな。


そう思いポケットに入っていたコインに魔力回路を引っ付けて持っておくことにした。

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