第228話

「マルコイ殿を連れて参りました。」


「うむ。入れ。」


扉の向こうで王様の声が聞こえた。

中に入ると王様とエッケンさんが頭を抱えている。


うわぁ‥

やっぱり俺のせいだよね?

そりゃ魔族と戦うのに光属性の攻撃を使ったんだけど、わかったのかなぁ?

バレてないよね‥


「レトリーよ。席を外せ。他の者もエッケン以外は席を外すがよい。」


王様がそう告げると、部屋にいる人たちが出て行った。


しばらくの沈黙の後に王様が口を開く。


「マルコイよ‥先程の魔族との戦いの件で、ワシに何か言う事はないか?」


う〜ん‥

何とか誤魔化せないかなぁ‥


「そうですね。みんなで力を合わせて頑張ったら勝てました。」


極力にこやかな笑顔で答えておく。


「そうか‥頑張ったらな‥」


王様が困ったような顔をしている。


するとエッケンさんが口を開く。


「マルコイよ。冒険者が自分のスキルを公にしないのはわかる。ましてや王族に言ってしまってほとんどの人が知ってしまうのではと思うであろう。しかし今回のお主が使った光属性と思われるスキルの事を私達だけにでも教えてもらえんか?他言はせぬから。」


う〜ん‥

バレてた。


しかしスキル【模倣】をうまく隠して伝える自信がないが、要点だけ伝えてもいいかもしれないな。


「そうですね‥自分のスキルで力を増幅したり速さをあげたりするスキルがあるんですが、その中で光属性の能力がありました。それを使用する事で勇者とは言いませんが、それに近い力を使う事ができたといったところでしょうか‥」


嘘は言ってないぞ。


「‥‥‥わかった。ではお主は勇者ではないが、魔族と戦える力を持っているといったところだな。」


少しの沈黙の後にエッケンさんが確認してきた。


「はい。そう思ってもらって結構です。」


王様はため息をついた。


「マルコイよ。他の国で言うでないぞ。お主が勇者のような力を持っているとわかれば、何としても囲おうとする国が出るであろう。ワシも事前にお主と話をしておらんかったら、そうすると思うからな。特に神聖国などお主を手に入れるために何をするかわからん。」


そうか。

光属性は神聖な属性で使い手は神聖国に居るべきだみたいに考えるのかもしれないな。


「わかりました。ご忠告ありがとうございます。」


「他にも魔族と相対してわかった事などはあるか?」


「そうですね。気になる事がいくつか。冒険者ギルドのギルドマスターに報告しようとは思っていましたが‥」


「うむ。急を要するような事柄がなければそれで構わん。それでは下がってよい。」


「ありがとうございます。」


俺が部屋から出ようとすると王様が声をかけてきた。


「マルコイよ。他では絶対言うでないぞ。お主の為じゃ。それと‥」


王様は一旦言葉を止めて俺の目を見る。


「それとお主は魔族との戦いに否応なしに巻き込まれるかもしれぬ。その時ワシは、獣人国はお主に力を貸す事を宣言しよう。お主が救ってくれた我が民の為にもな。」


王様はそう言うとエッケンさんと話を始めた。


俺は頭を下げて部屋を出る。





やっぱり獣人国はいい国だな。



しかし‥


やっぱ巻き込まれるのかなぁ‥

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