第621話

本心としては俺を倒すって言ってるから、後顧の憂いをなくすために、このままあばばばをしてもいいような気がするけど‥


今回はそんな事をせずに、素直にスキル譲渡を選択する。


俺はリルの頭に手を添えて、頭の中で模倣スキルを譲渡する事を思い浮かべる。


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。対象にスキルを譲渡しますか?』


譲渡する‥


『スキル保有者の承認を確認致しました。譲渡を行います。どのスキルを譲渡しますか?』


【タイムクラブ】


『譲渡するスキルを確認致しました。スキルを譲渡します』


するとリルの身体が微かに光る。


「どうだリル?スキルを得る事ができたか?」


「ん。あたまに入ってきた。これすごい。もうリル最強。」


「そうか。どうだスキル的には使えそうか?」


「ん。強いのとたたかう時にはいい。よわいのは使わなくておわると思う。」


そ、そっか。

ある程度の奴なら確かにリルなら必要ないわな。


「それはよかった。そのスキルなら‥」


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。譲与結合の条件を満たしています。譲与結合の対象を確認しました。対象に譲与結合しますか?』



は?



ま、まじか‥


スキルの譲渡だけのつもりだったのに、ここで譲与結合が来ちゃいますか‥


「あのなリル‥ちょっと思わぬ事が起こったんだけど、聞いてくれるか?」


「ん。まだスキルがふえる?」


スキルは減る。

しかし全てを合わせた新たなリルのスキルを得る事が出来る。


しかし‥


「そうだな‥リルに新たなスキルを渡す事が出来る。しかし今度は少し違う。今度のスキルを渡すと、リルの今のスキルが無くなってしまう。今まで心血注いでレベルを上げてきた【刀神士】もおそらくなくなるだろう。」


「なくなるだけ?」


「いや、今リルが持っているスキルを使って新たなスキルを生み出す事になる。どうする?今なら止める事が出来るぞ。一度スキルを渡してしまうと多分元には戻らない。」


スキル【刀神士】はリルが幼い頃から鍛錬して得たスキルだ。


思い入れもあ‥


「ん。じゃあそれでよろしく。」


んあ?


「い、いいのか?」


「かまわない。リルつよくなるなら、スキルが変わっても全然もんだいない。スキルはスキル。おじいちゃんの教えはリルのこころにある。」


そっか‥


「でも確実に強くなるわけじゃない。スキルもレベルは1になるし、もしかしたら戦闘向きじゃないかもしれない。それでもいいのか?」


「ん。レベルさがっても訓練する。もしべつのスキルでもどうにかしてつよくなる。」


決意は堅そうだな。

元のスキルがベースになるから、非戦闘スキルになるとは思えないが、レベルは下がるからな。


でも確固たる決意を持ったリルなら乗り越えられるだろう。


「わかった。それじゃあ始めるぞ。」


俺は再度リルの頭に手を添える。


『譲与結合の対象を確認しました。対象に譲与結合しますか?』


譲与結合する‥


『対象への譲与結合には【属性魔法:霧】が必要になります。スキル【属性魔法:霧】を使用します。スキル【刀神士】【魔眼】【タイムクラブ】とスキル【属性魔法:霧】を結合します。スキル【刀纏水姫】に結合しました。スキル【刀纏水姫】を対象に譲与結合します。』



リルの身体が淡く光る。


スキル【刀纏水姫】?


どんなスキルなのだろうか‥?


スキルを譲与した側ではどんなスキルかわからないからな。


どんなスキルなのかは今リルの頭の中に浸透しているはずだ。


「ん?ん。」


リルは頭の中に入ってきている情報を整理しているようだ。


「わかった。マルコイ安心しろ。ちゃんとリルはたたかえるスキルだった。」


「そうか!一体どんなスキルなんだ?」


すると少し考えるリル。


「リルもつよくなったけど、みんなもつよくなるスキル?あと敵はよわくなる?」


な、なんだそれは‥?


謎解き‥?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る