第620話
「リルの事‥?」
「ああ。今日王城に行ってスキルをもらってきたのは知ってるだろ。そこで3つのスキルを模倣させてもらったんだけど、そのうちの1つがリル向きのスキルだったんだ。」
「へぇ‥どんなスキルなの?」
「【タイムクラブ】って言うスキルで、相手を斬りつけると、その回数によって相手の動きを奪うってスキルなんだ。だからリルがこのスキルを得たらもっと強くなれると思うんだ。」
「それじゃあリルに渡してやればいいじゃない。何か問題があるの?」
問題か‥
問題はリルが魔族って事だな‥
「マルコイ‥?もしかしてリルが魔族だから信用出来ないとか思ってないよね?リルに渡した後に魔族側に行ってしまうんじゃないかとか?そんな事思ってたりするの?」
リルが魔族側につく?
「まさか。リルはもうパーティの1人だよ。間違ってもそんな事は考えてないよ。」
リルは帰る場所無くなったと言っていた。
そんなリルを仲間に入れたけど、今は俺たちと敵対するなんて微塵も思っていない。
威嚇はされるけど。
あれ?
敵対してる?
「そうじゃなくて、リルは魔族だろ?だから同族に剣を向けれるのかなって。スキルを譲渡する事で戦いたくないと思っていても参加しなくちゃいけなくなると思うんだ。俺たちが参加しなくてもいいって言ったとしても、リルはスキルを譲渡された事で責任を感じてしまうかもしれない。だから躊躇してるんだ。」
魔族と敵対してしまえば、もしかしたらリルの知っている人と剣を交える事になるかもしれない。
そうなった時にリルが辛い思いをする事になるだろうから‥
「そうね‥でもリルの事だからそんなの関係ないと思うわよ。もう彼女はわたしたちの仲間だし、魔族を倒すべき相手だって思ってるから。でも気になるなら、本人に直接聞きましょ。連れてくるわ。」
「あっ!ちょアキーエ‥」
アキーエは部屋を出てリルを探しに行った。
確かに本人に聞けばいいんだろうけど、リルが本心を言ってくれるだろうか‥
しばらく待つとアキーエがリルを連れて戻ってきた。
「マルコイよんだ?要件なに?」
リルが真っ直ぐに俺を見る。
魔道具により真っ赤だった瞳は今は別の色になっている。
だがそれだけだ。
リルが魔族である事には変わりない。
魔族と戦えば知っている人と会うかもしれない。
リルが育った村の人と出会ってしまうかもしれない‥
「リル。リルは俺たちが魔族と戦う事にるのはわかってるよな?」
「うん。わかってる。まかせろ。」
「そうだな。知ってるよな。」
ん?
任せろ‥?
「それはリルが同族と戦うって事になる。もちろんリルが知っている人と会うかもしれない。それでもリルは戦えるか?」
「あたりまえ。洗のうして、あばばばされた原因になったやつら。ゆるさない。マルコイも。」
え?
そうなの?
同族相手なんだけどその辺はいいの?
てか、今さらっと俺の名前出さなかった?
「そんなこと気にしないでいい。リルはアキーエと一緒にいたい。それを邪魔するやつらはぜんぶ倒す。マルコイも。」
そうか。
もうリルは俺たちと一緒にいるって決めてるんだな。
あとやっぱり俺の事も言ってるよね!
「わかった。それじゃあ今から俺の秘密を話すよ。その秘密を聞いた後にリルがどうするか決めてほしい。」
俺はリルにスキル【模倣】についての話をした。
「マルコイずるい。でもリルつよくなるなら、許してやる。リルはもっと強くなりたい。おじいちゃんよりも。」
全てを聞いた後にリルはそう言った。
え?
リルのおじいちゃんって今のリルより強いの‥?
何その化け物‥
「そうか。俺がずるいってのは意味がわからないけど‥それじゃあリルはスキルを譲渡しても構わないわけだな?」
「のぞむことろ。もっとつよくなって、魔王も魔族もマルコイも全部たおす。」
俺は負けん!
俺は頷き、スキルの譲渡のためにリルの頭にそっと手を伸ばす。
そしてリルにスキルを譲渡した‥
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