第515話
本格的なチーズ作りはキリーエにお任せするとして、今回作るのはお手軽チーズだ。
牛の乳に塩を入れて火にかける。
沸騰前にレモンの汁を入れて静かにかき混ぜる。
少しずつ固まりだしたら火を止めて、そのまま少し放置する。
そして食物繊維を扱えるようになった【スードウクリエイター】で水切りできる布を作り出す。
それに放置して固まった物を時間をかけて何度か水切りしたら出来上がりだ。
必殺なんちゃってカッテージチーズだな。
先程広げた生地にトマトソースを塗り、チーズと燻製肉を乗せる。
それとアレカンドロの家に自生した香草を摘んで乗せたら出来上がりだ。
「よしできた!あとはこれをさっきのピザ窯に入れて焼いたら出来上がりだぞ!」
「わーい!やったですぅ!じゅるる〜!」
ミミウさん涎はちゃんと拭きましょう。
うわっ、こっちまで飛んできた。
窯が充分熱されたので、窯の上の層にピザを入れて焼いていく。
わずか数分で生地が焼ける香ばしい匂いと、トマト、チーズが焼ける匂いがしてきた。
すぐに取り出すと、チーズが溶けていい具合に出来上がっていた。
「よし出来上がりだ。これは放射状に切って、端を持って食べるんだ。ちょっと待ってろ、今切る物を持ってくるから。」
するとリルがスッと出てくる。
「台所にナイフあった。これで切る。」
「う、うん。よろしく頼むよ。」
リルがナイフを持ってきたからお願いする。
リルも食べたかったのかな?
「ふっ!」
リルがナイフを振るう。
俺の目には数回腕が動いたように見えたけど、正確な回数はわからなかった。
ピザは放射状に切れた。
ピザを置いていたテーブルごと‥
テーブルが切れて倒れる前にアキーエがピザを別の皿でキャッチする。
そして今切られた事をわかったようにテーブルが崩れる。
「あ、ありがとうリル。」
「ごめん。やりすぎた。」
そ、そうだね。
でもナイフでテーブル切るってどんだけなの?
しかも目で追えなかったんですけど‥
アレカンドロはよくこんなのと模擬戦してたな‥
今度俺も模擬戦やってみようかな‥
「キシャーッ!」
うん、ごめんごめん。
真っ二つに斬られそうだからやめておいた方がいいような気がするな‥
「それじゃあみんな食べてみよう!」
「わーい!」
みんなで一枚ずつ取って食べる。
うん美味い。
即席で作ったチーズだから熱してもそんなに伸びないけど、チーズの風味と香りはちゃんと出てる。
トマトソースの酸味と相まってとても美味しい。
さて、ミミウさんがピザ窯の前でスタンバイしてるので、次を焼きますかね。
今から俺はピザ焼きマシーンと化すのだ。
ピザを一口でも食べれたので僥倖だ。
みんな美味しそうにピザを食べている。
「ピザ窯は今提携しているレンガ職人に頼むとして、トマトソースにチーズ‥チーズもピザ部門と並行して新たに部門を立ち上げて‥」
うん。
キリーエさんもいつも通りだな。
「あと、ピザの生地を作ってた時にマルコイさんが何か考えてたから、その部門を作らんとあかんけど、多分生地を膨らませる素材が何かあるみたいやから、小麦部門から選別するとして‥」
うん。
いつも通りじゃなかった。
先読み凄いな!
でもこれでチーズにベーキングパウダー、ドライイーストまで作ってくれそうだな。
そんな事を考えながらも俺の手は自動ピザマシーンのごとく生地を伸ばし、トマトソースを作りチーズを作る。
みんなは楽しくピザパーティー。
俺は1人ピザ作り‥
誰か手伝ってくれるといいけど、みんな料理できないしなぁ‥
リルだけが、ピザのカットを手伝ってくれている。
でも手伝うというか、ただ単にピザを切りたいだけのような気もするけど‥
感謝を伝えようと近寄ると‥
「キシャーッ!」
威嚇されるし。
こんな変なパーティだけど、だからこそ勇者たちも受け入れてくれるだろ。
お前たちの胃袋も満足させられると思うぞ。
だから上手いこと神聖国を抜け出そうな。
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