第361話

『譲与結合の対象を確認しました。対象に譲与結合しますか?』


譲与結合する‥


『対象への譲与結合には【狂戦士】【堅牢】【反射】が必要になります。スキル【狂戦士】【堅牢】【反射】を使用します。スキル【大斧士】【換装戦鎧】とスキル【狂戦士】【堅牢】【反射】を結合します。スキル【聖鎧闘士】に結合しました。スキル【聖鎧闘士】を対象に譲与結合します。』


「【聖鎧闘士】?なんですかこれは‥凄い‥全く新しいスキルが頭の中に流れ込んでくる‥」


アレカンドロはよほどの衝撃だったのか呆然としている。

そりゃそうだよな。

模倣スキルだけでも衝撃的だったのが、いきなり自分に新しいスキルが発現したんだ。

本来スキルは系統進化や派生進化はするが、全く新しいスキルになるなんて事はない。

こんな経験をすること自体がなかったはずだから。



しかし【聖鎧闘士】か‥

またよくわからないスキルになったな。


だがスキル【狂戦士】を結合してしまったのか‥


強いスキルだがリスクが高かった。

スキル名からリスクがありそうな気はしないが‥

もしかして聖騎士のスキルを取り込んだ事でリスクがなくなったのか?


どちらにしろ戦闘系スキルのようでよかった。

アレカンドロの願いに応える事ができたんじゃないだろうか。


あとはどんなスキルなのかってとこだな。


「アレカンドロ。スキルはどんな感じだ?」


俺は未だ呆然としているアレカンドロに声をかける。


「あ、すいません‥まだ頭の中が整理できてません‥先程譲渡してもらった【換装戦鎧】に似たスキルのようですが‥」


アレカンドロは席を立ち周りを見渡す。


「マルコイ殿。ここではちょっと‥庭に出てスキルを試してみてもいいでしょうか?」


「ああ。そうだな。外に出て見せてもらっていいか?アレカンドロの新たなスキルを。」


「はい!」


そう言って見惚れてしまう程のいい笑顔でアレカンドロは応えた。




全員家の庭に出る。


獣人国の家ほどではないが、アレカンドロの家の庭もかなり広い。


皆が見守るなか、アレカンドロがスキルを使う準備をする。


アレカンドロは自身が着ている鎧を外し出した。


「アレカンドロ。スキルを使うのに鎧を外す必要があるのか?」


「はい!どうやら【聖鎧闘士】は全身を覆う鎧を発現するスキルのようです!鎧を来たままでもスキルを使う事はできそうですが、身体の上に発現するスキルなのでつけている鎧は弾け飛ぶみたいです!」


いや弾け飛ぶって!




‥‥なんだか何か最終兵器っぽいな。


敵に追い詰められた時に敵に向かって鎧の破片を飛ばす‥

うむ。

ロマンだが効率が悪過ぎるな。

そのうち人形で再現しよう。


「じゃあ【聖鎧闘士】は【換装戦鎧】みたいなスキルなのか?」


「はい!でも少し違うみたいです!」


なるほど。

しかしSランク冒険者の主スキルと同じようなスキルか‥

それ強くね?


「それじゃあ使ってみます!」


「アレカンドロ。さっき教えたポーズで頼むわよ。」


「はいアキーエさん!任せといてください!」


ん?

アキーエは殿じゃないんだな?


アレカンドロは足を肩幅に開き、腕を交差するように構える。

そしてゆっくりと片腕を円を書くように動かしていく。

半円を書いたところで逆の腕を突き上げる。


「着装!」


何かダメな気がするー!

それやっちゃダメな気がする!



俺のそんな思いとは関係なくアレカンドロのスキルが発現する。


アレカンドロの身体が淡く光る。


そしてアレカンドロの身体の周りに鎧が発現される。


その鎧がアレカンドロの身体を包み込む。

今までアレカンドロがつけていた鎧に似ているが、どこか女性らしいフォルムになっている。


足から頭まで鎧が装着されていく。

白銀の鎧に所々に青と金の色が入っておりとても美しい鎧だ。


そして右手にはアレカンドロが今まで使用していた物より少し大きなサイズの大斧が握られている。


そして1番特徴的なのが‥


背中に見える2対の翼だった‥

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