第360話

『譲与結合の対象を確認しました。対象に譲与結合しますか?』


ち、ちょっと待て。

何だと?

スキル【模倣】には何度も驚かされてきたけど、今回はどういう事だ?

俺はアレカンドロに1つのスキルを譲渡しただけだぞ。

それで『譲与結合』までなるものなのか?


元々俺が持っていたスキルにアレカンドロが持っていた【大斧士】がはまった事で『譲与結合』までなってしまったという事なのか?


「アキーエ‥予想外の事が起こった。」


「ほらっ!アレカンドロ!スキルを使ってみなさいよ!ポーズ決めながら『着装!』とか言いながら鎧装着できない?ちょっと決めポーズ考えましょうよ!」


いや、アキーエさん‥

物凄く楽しそうなんですけど、こっちでかなり大事が起きてます‥


「なあアキーエ。」


「ん?なにどうかしたの?あ、わかった!マルコイもポーズ考えたいんでしょ?じゃあどんなポーズかやって見せてよ。」


アレカンドロが仲間になった事が相当嬉しかったんだろうな‥

いやいや、そんな段じゃない。


「アキーエ‥実はアレカンドロに『譲与結合』までできるみたいだ‥」


「座ったままでできるポーズなの?‥‥‥えっ!嘘でしょ?」


「本当だ。俺もかなり驚いてる。」


「やったじゃないアレカンドロ!使いこなすまでに時間がかかるとは思うけど、凄いスキルが手に入るわよ!」


いや、凄いスキルかどうかはやってみないとわからないんですけど‥


「え?何の事ですか?新しいスキル?さっき譲渡してもらった【換装戦鎧】とはまた違うスキルを譲渡してもらえるって事ですか?」


「いやそうじゃない。俺の【模倣】が対象に譲渡できるのは今のでわかったな?」


「はい!今その事を実感させてもらっております!」


おう。

だいぶん興奮してるな。

しかし『譲与結合』の事まで伝えると興奮してどこかに飛んで行きそうだ‥

いやそれよりも重さで下に埋まる‥

いかんいかん女性に重いは禁句だった。


「実は俺の【模倣】は譲渡以外にも対象にスキルを渡す事ができるんだ。」


「え!?模倣したスキルを渡す以外に、更に何かあるんですか?」


「ああ。実はさっき譲渡したスキルだが、レベルがないんだ。というか模倣したスキルはそこでスキルとして完成していると思ってもらっていい。だからそれ以上強くならないし進化もしない。」


「なるほど!管制したスキルって事ですね!」


ん?

多分わかってないな‥

なんか字が違う気がする‥


「まあいい。だが譲渡する以外の方法であればそのスキルは自分の物になる。つまりレベルも上がるし、もしかしたら進化する可能性もある。」


アレカンドロは首を縦に振っている。

あ、ちょっとクワイスの苦労がわかった気がする。


「簡単に言うと、今アレカンドロにもう1つ渡せるスキルがある。そのスキルは模倣ではなく、全く新しいアレカンドロのスキルになるってことだ。しかしリスクもある。そのスキルを渡すと今まで使っていた【大斧士】は無くなると思うし、レベルも1になる。それでも新たなスキルを求めるか?」


「なるほど!わかりました!」


やっぱりわかってなかったんかい!

しかしアレカンドロはどんな判断をするか‥


アキーエとミミウは俺に対する信頼があった。

仲間になったばかりのアレカンドロは‥


「ありがとうございます!」



「でも自分なんかがいいんですか?仲間させてもらったばかりで何も役に立っていないのに‥」


はは。

そうだった。

俺が仲間に入れたアレカンドロはこんなやつだった。


「これで自分もマルコイさんの役に立てますか?」


ちゃんとリスクも説明したつもりなんだけどな。

アレカンドロはもう前しか向いてない。

神様頼むぞ。

俺の仲間の願いを叶えてやってくれよ。


「いいのかアレカンドロ?これはどんなスキルになるかわからないし、さっき言ったとおり今まで持っていたスキルがなくなる可能性が高い。強くなるどころか弱くなる可能性もあるんだぞ。」


「大丈夫です!目の前にある大きな機会を逃したくはありません!」


「わかった。それじゃあ『譲与結合』するぞ。もし自分が望まないスキルだったとしても仲間になったんだ。絶対に一緒にいるから心配するな。」


「い、い、一緒って‥はい!お願いします!」

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