第359話

「なあアレカンドロ。さっそくだが1つ聞きたい。アレカンドロのスキルはなんだ?」


「はい!自分のスキルは大斧士で斧士から派生進化したスキルです!」


なるほど。

確かに主武器は大斧を使っているしな。


「そうか。それじゃあ質問だ。俺はスキルを何個もってると思う?」


「はい!空を駆けるスキルと剣術‥ダブルスキル?いや、トリプルスキルとか!」


そうだよな。

アレカンドロの前では結構スキル見せてきたつもりなんだけど、常識的に考えてそのくらいと思うよな。

でも残念だが物作りのスキルが入ってないぞ。


「俺は今8個のスキルを持っている。言ってしまえばオクタプルスキルだな。」


まあ模倣スキルとか合わせるともっと増えるんだけどね。


「なっ!そ、そんな人いるんですか?いや、もうそんなのすでに人じゃないです!」


いや、実際目の前にいるがな。

失礼なやつだな。


「今は8個だが、まだ増える予定だ。アキーエが言うにはもう隠す必要もないって事だが、一応秘密にしてるから内緒にしててもらっていいか。」


「はい!もちろんです!でも増える予定ってどういう事ですか?」


「俺の大元のスキルは【模倣】ってスキルなんだ。このスキルはある一定の条件をクリアすると対象のスキルを模倣する事ができる。模倣スキルって形でな。」


「な、な、なんですと!そんな事ができるスキルがあるなんて!それじゃあマルコイ殿の8個のスキルは模倣スキルって事ですか?」


うん。

いいリアクションだ。

なんだか話してて楽しいぞ。


「いや、さっきのオクタプルに模倣スキルは入れてない。俺のスキル【模倣】は模倣スキルを合わせて新しいスキルを作る事ができるんだ。」


「そ、そんなとんでもないスキルがあるんですね‥」


「しかも模倣スキルを他人に譲渡する事もできる。」


「‥‥‥。」


アレカンドロの口は大きく開いて閉じなくなった。

虫が入るぞ。


「これが俺の、俺たちパーティの強さの秘密だ。」


アレカンドロにスキルで強くなったと思われるかもしれない。

でもそのスキルを使いこなすために俺もアキーエもミミウもキリーエも努力をしてきた。

単純にスキルだけの強さではないと思う。

でも他人がどう思うかは‥


「す、す、すごいです!もちろんとんでもないスキルだって事はわかりますが、それを使いこなす努力をされたんですよね!それが今の皆さんの強さに繋がっているわけですか!凄すぎます!」


そうだったな。

アレカンドロはそんなやつだった。

素直で大袈裟で。

でも人の事を素直に認められるやつだった。


「アレカンドロを初めて見た時から、お前に譲渡したいって思ってたスキルがある。受け取ってくれるか?」


「じ、自分にですか!そんな入ったばかりの自分にいいんですか?」


強力なスキルだが、俺もアキーエも速さ重視だ。キリーエは隠密だし、ミミウは‥‥なんか違う。


だが死蔵するには勿体なさ過ぎるスキルだ。


俺は椅子から立ち上がりアレカンドロの頭に手を添える。


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。対象にスキルを譲渡しますか?』


譲渡する‥


『スキル保有者の承認を確認致しました。譲渡を行います。どのスキルを譲渡しますか?』


【換装戦鎧】


『譲渡するスキルを確認致しました。スキルを譲渡します』


Sランク冒険者であるリュストゥングから模倣したスキルだ。

実は最初にアレカンドロに会った時にリュウトゥングみたいだなと思ったのがきっかけです。

実際はアレカンドロは女性だったけど、うちのパーティでアレカンドロほどスキル【換装戦鎧】を使えそうなやつはいないだろ。


「おお!何ですかこれはっ!頭の中にスキルが流れ込んできます!【換装戦鎧】?これは?」


「アレカンドロも闘ったと思うけど、Sランク冒険者のリュストゥングが持っていたスキルだ。」


「そ、そんな物を自分が貰ってもいいんでしょうか?」



『譲与結合の対象を確認しました。対象に譲与結合しますか?』


え?

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