第362話
まるで天使のようだな‥
スキルを発現したアレカンドロを見ながら俺はそう思った。
全身を覆う鎧については美しいだけではなく、かなり防御力が高そうだ。
リュウトゥングのスキル【換装戦鎧】と違い、アレカンドロのスキルは武器まで発現してくれるんだな。
大斧士を統合した事によるものだろうか。
「アレカンドロ。背中に羽根まであるんだが、もしかして空を飛べたりするのか?」
「はい!スピードは出せませんけど、飛ぶことはできそうです!」
そう言ってアレカンドロは背中の羽根を使い空に舞い上がる。
あの羽根ってどうなってるのかな?
アレカンドロの背中に羽根があるわけないし、鎧についてるんだよな?
それを自由に動かせるって‥
羽根人形ほどのスピードはないものの、空を器用に飛んでいる。
まだスキルに慣れていないのかふらついているところも見受けられるけど、羽根人形で練習していたせいか落ちることは無いようだ。
空から降りてきたアレカンドロはスキルを解く。
するとアレカンドロは興奮してか、顔が紅潮していた。
「マルコイ殿!マルコイ殿!素晴らしいスキルです!本当に‥本当にありがとうございます‥」
「ああ。アレカンドロらしいスキルで俺もよかったと思うよ。」
アレカンドロの眼は涙が浮かんでいた。
「ところでアレカンドロ。スキル【聖鎧闘士】の発現する鎧は【換装戦鎧】みたいにいろんな種類があったりするのか?」
「いえ!今使った鎧のみです!」
そうなんだな。
【換装戦鎧】は状況に合わせて様々な鎧に変更する事ができた。
それはリュウトゥングが使っていたのもあるが、スキルを模倣した時にわかった。
使える鎧の種類が頭に浮かんでいたが、模倣レベルは上がらないために使うことは出来なかったけど。
現時点で1種類と言っているってことは【聖鎧闘士】で発現できる鎧は先程アレカンドロが装着した鎧だけになるんだろう。
しかしそれだけで十分過ぎると思う。
それにレベルが上がれば何かあるかもしれないしな。
「これでスキル【聖鎧闘士】はアレカンドロのものだ。頑張って使いこなしてくれよ。」
「はい!まだまだ使いこなすまでに時間がかかると思いますが、絶対自分の力にしてみせます!そしてマルコイ殿たちと肩を並べて戦えるようになります!」
「おう。これこらよろしく頼むな。」
「はい!」
新しく仲間になったアレカンドロは新たなスキルと共に俺たちと歩んでくれる事となった。
アレカンドロが仲間になった。
とても喜ばしい事だが、お祝いは『カッカス』の件が終わってからだな。
何が必要になるかわからないので、いろんな準備をしておこうと思う。
大量買いしても俺には『スペース』があるからな。
保管場所には困らない。
ポーションはもちろん食料品なんかもかなりの量を買い込んだ。
ミミウさんのおかげで買い込んだ食料が減ったり更に買い込んで増えたりとしたが、概ね大丈夫だろう。
流石にミミウさんも『スペース』の中にまでは食べ物を探しに来ないと思う。
いや‥
思いたい。
あとは相手が魔族絡みであるなら用心に越したことはないので依頼当日まで戦力アップのためにできる事をする事にした。
アレカンドロが仲間になった事でかなりの戦力アップにはなったと思う。
しかし敵の数が膨大であった時のために人形を作っておく事にした。
1体でかなりの魔力を持っていかれる為に、1日でできる人形の数は2体が精一杯だった。
魔力を回復するポーションもあったのだがかなり希少なのでがぶ飲みするわけにはいかない。
自然回復する魔力のみで作り、もし『カッカス』が攻めてきた時には魔力ポーションを使う事にした。
そして木人形を計10体作ったところで【スードウクリエイター】が待望のレベルアップをしてくれた。
扱えるのが木のみだったのが、土まで使えるようになった。
土とはいえ馬鹿にするなかれ。
土は燃えないんだぞ。
これで火魔法使わせて同士討ちしても気にならない。
そして依頼日の日となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます