第719話
みんな恐る恐る近づいている。
まあ食べた事のない料理、しかもモンスターの肉だし警戒するよな。
そんな人たちの事を知ってか知らずか、もちろん我らがミミウさんが率先して肉を切り出した。
思っていた以上に肉まで切ってますが、まあご愛嬌ということで。
コカトリスの皮を切り取り、野菜を巻いて小麦粉と片栗粉を使って作ったカオヤーピンという皮に巻いて食べる。
「ふ‥ふ‥ふあぁ!美味しいですぅ!!」
さすがミミウさん。
誰が食べるよりも美味しそうに食べてくれる。
「アキーエ。後は材料がなくなったりしたら教えてくれ。多分みんな食べると思うからさ。」
「マルコイはどうするの?」
「ふっ‥‥今から料理との戦いさ‥」
「あ‥なるほどね。確かにミミウは足りないものね。頑張ってね。何か手伝うことがあったらいつでも言ってね。」
ふふ‥
アキーエの優しい言葉が胸に沁みるぜ‥
さて。
やってきました料理との戦い。
その前に肉を持ってきてもらおうかな。
「キリーエさーん!」
「コカトリスでええの?」
「う、うんそうだよ。」
ぐぬ‥
キリーエが突然出てくるのは絶対に慣れないと思う。
キリーエがコカトリスを10匹置いてくれた。
修練場はコカトリスの肉でいっぱいだ。
下に直置きしてるから汚れるかもしれないけど、一度お湯に浸けるから、その時ついでに洗えばいいだろ。
洗って水飴をかけたり、カオヤーピンを作ったり、野菜を切ったりと工程がなかなかある。
こんな時こそ‥
出でよ!俺の強い味方、アシュラ君ファースト!
ふっふっふ。
このアシュラ君ファーストは、ラケッツさんたちに渡した量産型アシュラ君とは違い、初期に作成されたタイプだ。
このアシュラ君にはなんと、量産型アシュラ君に付いている自動制御が付いていないのだ。
量産型アシュラには範囲内に入った物を感知して、自動で攻撃するようにしているが、アシュラ君ファーストは全ての腕を自分の意思で動かすのだ。
ただ単純に動かすために魔力回路を用いているのだが、自分の意思で動かすためには膨大な魔力回路を使用した。
自動制御で動く方が魔力回路が少なくて済んだのも量産型を採用した理由だな。
アシュラ君ファーストで、量産型が3台できたりする。
本来全ての腕を自分で動かした方が、出来ることも増えるのだが‥
如何せん、頭がついてこない。
そんなに沢山の腕を人は動かせないのだよ。
だがそれは普通の人の話‥
俺は【予測変換】やスキル【思考】を統合した【アルケミストメーカー】を持っているのだ。
その俺のスキルをフル活用すれば腕の2本や4本程度動かす事など造作もない事。
ふはははは。
これでミミウのために膨大な量の料理をすることも苦でなくなるはず!
爆ぜよ俺のスキル!
なんて事を思ってた時もありましたよ。
そりゃ少しでも作業の効率化ができたらいいじゃないですか。
でも人は1つ、多くても2つの事くらいしか同時にできないんですよ‥
結論としてアシュラ君を使って作業していると手元が動かないという状況になりましたので、大人しくアシュラ君を外して手作業で頑張っております‥
コカトリスを吊るす装置を作ったので、2匹同時に作れるのが唯一の救いだろうか‥
「マルコイさん!これどうしたん?」
俺がアシュラ君ファーストを置いて調理をしていると、それを見つけたキリーエが声をかけてきた。
「ん?アシュラ君ファーストの事か‥そうだな、その魔道具はあまりにも性能が高すぎて普通の人には使えない物になってしまったんだ‥だから分解して別の魔道具に作り変える予定だ。」
俺はアシュラ君ファーストが扱えない理由をキリーエに話す。
「へぇ、めっちゃ面白そうやんか。ちょっとうちが扱ってみてもええ?」
「別にいいぞ。」
いくらキリーエとはいえ、戦闘職でもない人がそう簡単にアシュラ君ファースト使えるはずがないだろう。
「これええな!うちにくれへん?」
そんな俺の予想を裏切るように、6本の腕にそれぞれ別の動きをさせているキリーエさんがいた‥
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