第432話
クワイスは身体のどこかに穴が空いたんじゃないかと思うくらい、長く深い溜息をついた。
「マルコイさん‥何で急にそんな発想が出たんですか?」
「ん?それは俺が作った物をみんなに使ってもらいたいんだけど、それを保管する場所がないじゃないか。俺が持ってたら、俺がいる時しか使えないだろ?それだといざと言う時に使えなくて不便じゃないか!もしモンスターの氾濫とかあったらどうする?俺が気づかなかったら、使えないんだぞ。」
「それは‥確かにそうですけど‥」
考え込むような様子のクワイス。
よし!
あと一押しか。
「それにもし戦いになった時に、使い慣れていないと満足に戦えないぞ。せっかくの機会にそんな事になったら目も当てられない。」
「せっかくの機会って‥」
あ、いかん。
つい本音が‥
「はぁ‥でもこれで駄目って言ったところで、マルコイさんは何か別の方法考えるだろうし、それだったら目の届く所の方がいいような気がしますね。わかりました‥作ってください。」
「そうか。すまないな。でも念のために、エルエス兄さん、スキャンとクワイス。そしてクワイスが信頼出来る『アウローラ』の数人しか入れないようにはしておくよ。」
「もしそんな事ができるなら助かります。でもそんな魔道具自体ないから、それ自体希少なんですけどね‥」
「防犯だ防犯。その方がクワイスも安心するだろ。それじゃあさっそく取り掛かるけど、後で秘密基地に入れるように登録をするから、誰が入れるようにするか考えといてくれ。」
「わかりました。マルコイさん‥‥くれっぐれも、ほどほどにしてくださいよ。」
「わかってるよ。」
わーい!
言質とったぞー!
これで実験室と兵器保管室の確保ができたー!
「マルコイさん‥顔がニヤけてるんですけど‥」
おお、いかんいかん。
「そんな事はないぞ。それじゃあ頼んだぞ。」
俺は『アウローラ』の拠点を出て、転移でミミウの元に向かった。
すぐにミミウを見つけて、食べ物で釣って協力してもらう。
秘密基地のためだ。
多少の事は仕方ない。
俺の腕が死のうとも‥
そういえば、ミミウ専用タコ焼きの略して『ミミウ焼き』だが、何故か売って欲しいとの声が多くあり、どうやら販売に漕ぎ着けたらしい。
俺が作った10個まとめて焼きは、俺しか出来ないみたいなので、2個まとめて焼ける金型をガッスンさんに依頼したようだ。
ただ中身がオクトパスではなく、普通のタコなので少々小ぶりになるので本来のミミウ焼きではないが、そのかわりに大量のタコを入れているそうだ。
元々タコは捨てていた食材なので、安価で大量に手に入るので使い放題らしい。
でもホット商会と専属契約した漁師は、タコを専門に取るようにしてアースンに豪邸を建てたらしい。
タコ御殿だな。
玄関の上には銀で作られたタコ焼きの金型がケースに入れて飾られているとか。
何でもホット商会が金の金型なら、その恩恵に与った自分は敬意を込めて、銀の金型を飾ることにしたとか。
まあそれはいいんだが、本家ミミウ焼き(オクトパス入り)で釣り上げたミミウに、秘密基地を作るために地下に穴を掘ってもらう。
「わかったですぅ!ノームさん力を貸してくださいですぅ。『召喚掘削:ノーム』」
ミミウがノームにお願いすると、6匹の精霊が現れた。
また増えてませんかミミウさん‥?
ノーム達は縦にしばらく穴を掘ると、そのまま俺たちがいる足下の地下を掘り始めた。
しばらく待っていると、ノーム達が戻ってくる。
「マルコイさん。終わったですよ。タコ焼きはいつ食べれますか?」
「そうだな。今日はちょっと難しいから後日でもいいか?大量に作ってやるから。」
「わーい!いっぱい食べれるなら後でもいいですぅ!たくさん食べるですぅ!」
むう。
キリーエに言って疲労回復できるポーションを多めに用意してもらおう‥
転移でミミウを送り届けて戻ってくる。
アキーエと一緒に‥
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