第431話

「さっきも言ったけど、足元のペダルを踏み込めば魔力をより機体に流すようにしているから、最大に踏み込んだら多分オーガキングくらいなら当たり負けしないと思うぞ。」


「え?」


「え?」


もう少しパワーをあげて欲しかったのか!?


「そうか‥ちょっと待ってくれ。パワーを上げれるか検討してみる。」


防御に回している魔力回路を少し減らして攻撃を強化するか‥


いやそしたら機体がそのパワーに耐えられるのか‥?


これは根本的な部分を考え‥


「いやいや、オーガキングと渡り合えるくらいって何ですか?オーガキングと渡り合えるとかSランク冒険者じゃないんですから‥‥もしかしてマルコイさん本気で言ってます?」


「本気も何も、0号はそれくらいのパワーはあるぞ。戦闘力重視だからな。細かい動きは全部取っ払ってるから、そのぐらいじゃないと駄目だろう。でもスキャンが0号の扱いに慣れてきたら、武器や盾を持って戦うところまで視野に入れようと思う。いや、それだと面白くないから、武器も破壊力重視で爆弾を大量に積むか、銃を使わせるか‥それこそ火属性の魔法でブラスター的な何かを放射するような物を使わせても面白いかもしれない‥」


「マルコイさーん!途中から完全に面白い事重視になってますよ!すごく楽しみではあるんですけど、少しずつにしてください!」


はっ!

いかんいかん。

スキャンの言う通り、俺の楽しい方に考えが向いていた。


あくまでも、セイルズの平和を守るための機体だった。

あれ?

違ったっけ?


「とにかく現状の出力で大丈夫って事か?」


「はい!とりあえずこの機体を俺が使えるようになってから、それ以降の事は考えてもらっていいでしょうか?」


「わかった。でもスキャンなら使えるようになるはずだから、強化するための装備や後継機を作るからな。頑張ってくれ。」


わーい!

搭乗者が決まったから、もっと面白そうなやつが作れるぞ!


「ところでマルコイさん。これってどうやって冒険者ギルドに戻ったらいいんだ?」


あっ!

そこまで考えていなかった‥


どうしよ。

とりあえず今日のところは俺が『スペース』に入れて冒険者ギルドに置いておけばいいけど、スキャンが練習する時に使えないと困るよな‥


「そうだな‥いっその事ここに秘密基地でも作るか?そしたら『アウローラ』の魔道具なんかもここに置けるだろ?」


「それは助かるけど、そんな事できるの?」


そうだな。

とりあえずこの土地を確保するだろ。

そしてミミウに頼んで地下室を作る。

そして俺が【ディバイズメイキング】で鉄板を作り、部屋を強化すれば何とかなるだろう。


「とりあえずクワイスに相談してみるよ。今から行ってくるから、スキャンはゴーレムの練習をしていてくれ。」


「わかった!マルコイさんが戻ってくるまでにモノにしておくぜ!」


ふむ。

心強い。


ライリーよ。

何故そんな白い目で俺を見ているのだ‥?



それよりも秘密基地だ!


俺専用の実験室なんかも作りたい!


やばい、ものすごくワクワクしてきたぞ!







「マルコイさん‥俺はワクワクじゃなくて、ハラハラしかしないよ‥」


『アウローラ』の拠点でクワイスに話を持っていったら、開口一番そう言われた。


なぜ?


『アウローラ』にとっても利点があると思うのだが‥


「もちろん俺だけの秘密基地ってわけじゃないぞ。『アウローラ』はもちろん、エルエス兄さんやスキャンも使うし。それに保管庫も作るつもりだから、いつでも木偶爆弾の補給もできるぞ。とりあえず暇だったし、スキルのレベルを上げる目的で木偶爆弾を200個ほど作ったからいつでも補給できるしな。木偶爆弾使い放題だ!あと搭乗型ゴーレムも『アウローラ』用に置いておくつもりだ!」


「はあぁ‥‥‥‥」


するとクワイスは俺の顔を見た後に、深い深い溜息をついた。


なぜに?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る