第430話

「よしっ!これで大丈夫なはずだ!衝撃を吸収するような仕組みを操縦席に取り付けた。それに安全バーを設置したから身体も動かないはずだ!」


「マルコイさん‥さっきの道具作ってた時、鉱石から何か出てきたように見えたんだけど‥」


あっ!

そういえば【ディバイズメイキング】の事伝えてなかったな。


「いや、言わなくていいよ。マルコイさんだからって理由で納得できるから。」


なんですかそれ。


まあそれで納得するならよろしい。


俺はまたスキャンを捕まえて操縦席に乗せる。


「今度は衝撃はある程度少なくなってると思うから、思い切り動かしてくれ。」


「え〜‥ついさっき死にそうになったんだけど‥」


「スキャン君。この機体だが、問題がなければこのまま君に渡そうと思ってるんだ。冒険者ギルドには人が来ないから、倉庫にでも入れておけば、いざという時に役に立つだろう?」


「え?本当にこれが貰えるの?わ、わかった!全力で動かしてみるよ!」


うむ。

思う存分楽しんで‥間違えた、試して欲しい。


「それじゃあスキャン行っきまーす!」


おお!

良い掛け声だ。


そのままゴーレムは動き出す。


さすがに走れはしないのだが、かなりの速さで動いている。


さっきより衝撃は少ないのか、スキャンも我慢して乗っているな。


「どうだスキャン?動きは特に問題ないか?」


「そうですね。さっきより身体に受ける衝撃も少なくなったし、耐えきれないってほどじゃないですね。これなら休み休みだったら長時間でもいけると思いますよ。」


よし。

これで搭乗者が乗ったら死ぬ事もなさそうだ。

量産型も作るつもりだからな。

大事なものはしっかりと設置しとかないと。


「あとマルコイさん。横のボタンは何のためについてるんですか?」


「よく聞いてくれたスキャン君!」


今回動きを動力化した事で、ゴーレムのパワーを上げる以外に武器も搭載する事ができた。


後から作るつもりの量産型は動きをもっとスムーズにするつもりだ。


しかし今回の搭乗型ゴーレムについてはスキャンに渡す専用機だからな、強さを重視している。


もちろん四肢はついているが、細かい動きは出来ない。

それこそ物を持つ事は出来るか、掴んだりする事は出来ないのだ。


そのかわり俺の夢を‥間違えた、武器を詰め込んでいる。


「そのボタンはゴーレムに搭載している武器を使用する事が出来るぞ!腕を岩の方に突き出して使用してみてくれ。」


「ぶ、武器?わ、わかった!」


スキャンがゴーレムを動かして腕を前に突き出す。

そしてボタンを押す。


するとゴーレムの腕から炎が放射される。


「おお!」


スキャンが驚いて声を上げる。


これは他の木偶人形にも標準装備している火炎放射器だ。

他にも腕が武器代わりに飛び出す、飛び出すパンチがある。


この辺は木偶人形に取り付けた物を参考にして、強化して取り付けた。


他には近距離用にミミウが使った、杭が飛び出す仕掛けの武器も取り付けている。


「あとスキャンから見て左につけているボタンは背中に背負っている爆弾を3発放つ事ができるぞ。でも敵に攻撃されたら爆発するから、囲まれる前に放つんだぞ。」


「えっ!俺は爆弾背負ってるの!?」


木偶爆弾より威力を抑えているが、それなりの威力の物を3つ取り付けている。

山形に飛ぶようにしているから、近くに落ちる事はないだろうが、使ってみないとわからないな。


「とりあえず1つ使ってみてくれ。」


スキャンは恐る恐るボタンを押す。


すると背中に背負っている一本の木偶爆弾が後尾より炎を放ち飛び出した。


そして前方に向かって飛んでいき、岩の近くに落ちて爆発する。


さすがに照準は甘いな。

まあ真っ直ぐ飛んだだけで僥倖だ。


「マ、マルコイさん‥こいつは凄いよ!このゴーレムがあればどんなモンスターにも勝てる気がするよ!」


興奮したスキャンを見ながら、頷く俺であった。

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