第511話
大きな扉が開き、あやめたちは荷物を抱えて出て行った。
出口で待っていた騎士たちは勇者を褒め称えた。
特に勇者たち専用の武具があった事に驚き、この遺跡は女神ウルスエート様が勇者様のために用意した遺跡だったと拝んでいた。
残念だけど、タルタル神様が勇者たちを脱国させるために用意した遺跡ですよっと。
ふむ。
自分でタルタル神様とか言うと、何だか悲しい気持ちになるぞ‥
騎士たちは、かなりの荷物だったが、各自で全て抱えて持ち帰った。
お前たち帰りにモンスターや、トラップがあったらどうするつもりなんだ?
さすが神聖国の騎士さんたちは頭お花畑だな。
俺はトラップも解除しているし、モンスターも起動させてないので危険はないのだが、念のためスキル【アバター】を使ってスライムに乗り移る。
あやめたちは予想していた通り、特に問題もなく遺跡を出る事ができた。
途中で遺跡にあった段差に引っかかって転んだあやめが、俺の方を睨んでいたけど、それトラップじゃないからな。
その程度の事はあったが、それ以外は特に問題がなかったと言えるだろう。
「正人様、あやめ様。今日はこのままセイルズに足を運びましょう。そこで一泊して神聖国に戻る事にしましょう。」
「わかりました。あの‥セイルズに戻ったら『アウローラ』さんの所に行ってもいいですか?」
「その必要はありません。私達の目的は達成しました。」
「で、でも!あ、あのこの遺跡は『アウローラ』さんの保有している遺跡なんですよね?だったら‥」
「たまたま傭兵団が保有していただけです。この遺跡は女神ウルスエート様が勇者様のために用意した遺跡です。なので本来なら神聖国の持ち物となるのです。まあ全ての魔道具を回収し終わった今なら、傭兵団にくれてやってもいいとは思いますが。よって自分達の遺跡に入っただけの事。感謝を述べるのであれば、この遺跡に行くよう指示された聖王さまだと思います。」
「‥‥‥‥はい。」
コイツらの本気でそう思ってるんだよな?
偉そうにしてた隊長さんは、いろいろと腹黒そうな事を考えてたみたいだけど、コイツらは純粋にこれが当たり前と思ってるんだよな‥
賢者のやつが洗脳されてたけど、神聖国は長い時間をかけて国民全体を洗脳していると言ってもいいんじゃないだろうか?
あやめは何を言っても無駄と思ったんだろう。
それ以上何も言わずに騎士に従う事にしたようだ。
俺はあやめたちがセイルズに向けて歩き出したのを確認して、スキルを解除して転移で一旦アキーエたちのところに戻る。
また少しの間遠征する事になりそうだしな‥
わかってはくれると思うけど、アキーエたちに理由を話しておかないと。
「アキーエ。」
「あ、マルコイ!帰ってきたのね!」
笑顔で駆け寄ってくるアキーエ。
可愛いなぁ。
勇者たちを助けに行くのやめよっかな‥
「どうだった?勇者の人たち連れて来れた?」
「いや、今回来てたのが2人だったから、勧誘はしたけど4人いっぺんじゃないと残った奴が神聖国から抜け出すのが難しくなりそうだったからな。今回はそのまま帰したよ。」
「そうなんだ。それじゃあ今度は神聖国に行く事になるんだ。わたしたちはついて行けないから、またマルコイ1人になるわね。少し寂しいけど、マルコイは決めた事は曲げないものね。頑張ってね。」
つい先程、アキーエの顔を見て曲がりそうだったんですけど‥
「そ、そうだな。でも今日は勇者たちもセイルズに泊まるみたいだから、俺もこのまま家にいて明日早めに出る事にするから。みんなは?」
「そう、よかった。リルとアレカンドロは模擬戦してるみたいよ。アレカンドロが全く手が出ないって喜んでたわ。あとキリーエとミミウだけど‥」
うん?
キリーエとミミウがどうかしたのか?
「キリーエとミミウは‥‥後ろにいるわよ。」
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