第47話

キリーエは興味本位で聞いてきたんだろうけど、俺としては目から鱗が落ちた思いだった。


「い、いや試した事ない。」


「冒険者のギルドカードじゃないと駄目って決まってるわけじゃないんだ?商人ギルドや鍛治ギルドとかギルドカードを発行してるところは、ほとんどスキル名が入ってるから試したみたらいいんやない?」


そうか、戦闘向けのスキルじゃないと模倣できないって先入観で思ってた‥


「試しにウチのスキルを模倣できるかやってみる?」


キリーエは自分の商人ギルドのギルドカードを見せてくれた。


キリーエ

商人ランクE

スキル【高速思考Lv.2】


「【高速思考】?どんなスキルなんだ?」


「自分の考えが早くなるスキルなんだけど、言葉で説明するのは難しいかな。常時発現スキルだから今も使ってるんだよね。じゃあ試しに【高速思考】!」


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【思考】を模倣しました。』


「おおっ!スキルを模倣できた。」


スキルを模倣した瞬間に頭の中で考えてた事がスピードを増した。

頭の中で考えている事が突然早くなった感じだ。考えを纏めるまでに要する時間が1.5倍ほどになった気がする。

まるで頭の中だけ早口になった感じがするな‥

確かに言葉にして説明するのは難しい。


「キリーエの【高速思考】は【思考】が系統進化したものなのか?」


「そうね。ウチの場合というか、商人になるような人はほとんど常時発現スキルだからレベルが上がるのが早いみたい。」


なんてこった‥

全くの盲点だった。

しかしこの【思考】は商人が持っていたら重宝するスキルなんだろうけど、戦闘時にも十分すぎるほど役に立つはずだ。

戦闘時の状況判断や仲間に対しての指示が今まで以上に早く行えるはず。


「多分商人は自分のスキルを見せるのに抵抗とかないから、冒険者から模倣するよりも簡単なんじゃないかな?ウチも知り合いの商人のスキルほとんど知ってるし。」


スキル統合が起こる確率を上げる為には、単純に模倣するスキルを増やせばいい。

数打ちゃ当たる戦法だな。


「キリーエ、ギルドってどれくらいあるもんなんだ?」


「そうね、ギルドカードを発行しているのは冒険者ギルド、商人ギルド、鍛治ギルド、薬師ギルド、錬金術師ギルドくらいだったかな。」


なんてこった。その全てのギルドカードから模倣できるのであれば、スキル統合して自分のスキルになる物が必ずあるはず。


「そのギルドは獣人国にもあるのか?」


「獣人国にも各ギルドの支部はあるはずよ。確か獣人国は冒険者ギルドと鍛治ギルド、商人ギルドの登録人数が多かったはずだわ。」


冒険者よりもスキルの提示に抵抗がないギルドが2つもあるわけか‥

獣人国に行ってからスキルを模倣するのが目的だったが、思ってた以上に多くのスキルを模倣できそうだな。


「ねえマルコイさん。ウチ役に立つやろ?」


キリーエが上目遣いで見てくる。

可愛いが、裏がありそうだな‥


「ああ。素晴らしい情報ありがとうな。本当に助かるよ。」


「よかった。それでな、ちょっと相談なんやけど‥」


やっぱり裏があった‥

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