第743話

俺は悠然と2人の所へ向かう。


「なっ!きさま!」


男たちは慌てて銃を俺に向けて構える。


遅い。


俺は男の片方に近寄ると銃を持つ手を掴み、そのまま捻る。


「うぐわっ!」


男はあっさりと銃を手放して、その場に転がる。


「とうっ!」


俺は先程の男と同じように男に蹴りを放つ。


男が痛みのために身体を縮める。

腹部を蹴ろうと思って放った蹴りが顔面に当たった。


ありゃ?


男は鼻から血を撒き散らしながら何度かバウンドして壁にぶつかり動きが止まる。


まあ死んでないだろ。

蹴る前にエンチャントも止めたしな。


コイツらの動きは遅く、どこにでもいるチンピラレベルだ。

銃を持った事で気が大きくなったんだな。


今まで絡んだ奴は銃を知らなかったのか、それとも絡んだ中に冒険者がいなかったのか‥


どちらにしろ2発しか撃てない銃で冒険者を止める事は出来ないだろ。


仕組みがわかってしまえば、避ける事は容易い。


多分バラックスさんやおそらくBランク冒険者でも簡単に躱せると思う。


銃の怖いところは、初見だと回避が難しいのと意識外から狙われる事だ。


こうやって目の前に現れたら、ガトリングのような構造じゃなければ当てるのは難しい。


「ば、ばけものめ!」


残った男は俺に、搾り出すような声でそう告げる。


失礼な。


これくらい当たり前だっての。


うちのリルさんだったら、銃の弾を半分に斬りそうだけど、特殊な言葉にそういう人に言ってください。


俺は残った男に向かい歩き出す。


「く、くそっ!」


男が俺に銃を放つ。


弾は俺の顔めがけて飛来してきた。


俺はそれを首を傾けて躱す。


狙いと思い切りはいいね。


続けて男はもう1発の弾を放つ。


俺は前に進みながら身体を捻り、弾を躱すと同時に銃を掴む。


銃がかなり熱を持っている。

それに火薬の爆発により、少し銃が変形してないか?


こんな粗悪品を量産して渡すとは‥

コイツらが使い捨てだからこんな銃でいいのか、それともヨエクが用意している武器がこの程度の物なのか‥


その辺も調べてみるか。


掴んでいる銃を男の腕ごと回転させる。


今度は銃を手放すことができないように、しっかりと掴んでいる男の手ごと回してやった。


「ぎゃーー!」


男の手の指が曲がらない方向に曲がってる。

うわっ‥

自分でやっときながらアレだが痛そうだなぁ‥


「待って‥ゆ、指がほらっ!」


「待たんっ!」


俺は3度目の蹴りを放ち、最後の1人を縦回転でぶっ飛ばした。


「ふぅ‥成敗!あと銃げーーっと!」


俺は二丁の銃を手に入れた!


最初の男が持っていた暴発した銃ももらっておこう‥





俺は不届き者たちを倒した後、イェルンさんの家に向かった。


イェルンさんの家は物々しい警備がされていた。


宰相だけあって、かなり大きな家なのだがその周りを何組もの衛兵が巡回している。


はたしてこの衛兵がどちら側の衛兵かと言うと‥


「なんだ貴様!イェルンの家に何か用か!?」


自分の国の宰相に向かって呼び捨てだったり、高圧的な態度でヨエク側の衛兵だとすぐわかりますな。


「いや、イェルンさんの安否が心配でお会いできればと思って。」


「ああ?無理だ無理だ!さっさと帰れ!まったく‥何をしているんだ見張りの奴らは‥だからチンピラどもを使うのには反対なのだ‥」


なるほど。

イェルンの家にこれだけの衛兵を配置しているから、それ以外の場所は金欲しさに働く奴らを雇ってるわけか。


それにこの物言いは多分、イェルンの周りを監視している奴らはヨエク側の兵士だな。


だってムカつくもん。


「そこをなんとかお願いできませんか?遠方から話を聞いてやってきたんです!」


「無理だと言っているだろう!ん?遠方からだと?今は城門も閉鎖しているはずだぞ。貴様いったいどこから来たのだ?」


「んあ?えっと‥‥お、俺は冒険者で‥‥」


まずった‥

ここで冒険者ギルドの依頼でと言ってしまうとアキーエたちに迷惑がかかるか‥?


「こっそりと?」


あ、まずった。





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