第594話
魔道具の装飾はおいおい考えるとして、とりあえず身につけておく事にした。
何があるかわからないからね。
魔道具の完成から数日たち、獣王様に献上する剣が出来上がったので、お城に向う事にした。
今日のお供はミミウさんである。
何故かと言うと、ミミウさんが朝から俺の部屋の前で待機していたからである。
「どうかしたのかミミウ?」
「今日マルコイさんどこか行くですか?」
「そうだな。王様に渡す剣が出来上がったから、王城に届けに行こうと思ってるくらいかな。」
「そうですか、ミミウもついていきますぅ。」
「そ、そうか。別に届けるだけだからパーティーがあったり、ご飯が食べれたりするわけじゃないぞ。それでもいいのか?」
「はい!今日のマルコイさんは美味しそうな匂いがするですぅ。マルコイさんについて行けば、きっと美味しい物が食べれるですぅ!」
な、なんだその理由は‥
今日は別に料理をするつもりはないけど‥?
もしかしてどこかで料理を作る事になるのだろうか‥?
だとしたら勘がいいどころじゃない気がするんですけど‥
とりあえずミミウを連れて登城する。
今日は正式なものではないので、正装はしていない。
そのせいなのか、城の入り口で止められてしまった。
「すみません、獣王様に会いにきたんですけど、取り次いでもらえませんか?」
「ん?約束はあるか?すまんが、約束のないものは取り継ぐことができないのだ。」
そうか‥
そしたら約束してから来るとするか。
「わかりました。そしたらエッケンさんでもいいので、マルコイが来たことだけ伝えてください。」
そしたら多分エッケンさんが時間取るように動いてくれるだろ。
「え!マルコイ様ですか?すみません、マルコイ様であればすぐに中に案内するよう仰せ使っております。」
おお、そりゃ助かる。
俺も数回しか来たことないし、正装も着てないので門番の人も俺がマルコイだってわからなかったんだろう。
中に入っていくと、応接室に通された。
この間みたいに謁見の間じゃないんだな。
「マルコイ。待たせて済まないな。今日は何用だ?」
「先日問い合わせがあった、献上用の剣が出来上がったのでお持ちしました。」
「そうかっ!それは王も喜ぶぞ!随分と首を長くして待っていたからな。」
それはすみません‥
そのかわり俺が今使っているダマスカス剣と同じくらいの品質の武器だからチャラという事で。
しばらく待っていると、獣王様がやってきた。
少し息を切らしている。
どんだけ楽しみにしてたんだよ。
何か遅くなって悪かったかな‥
「マルコイ!剣が出来たとの事だが誠か!?」
「はい。こちらでございます。」
俺は祭事用でも使えるような装飾をつけてある剣を献上する。
サミュウさんの知り合いに王様に献上する剣の鞘を作って欲しいとお願いしたら、二つ返事でやってくれた。
しかもお金もいらないと言われた。
とりあえずお返しにエッケンさんには装飾士の名前を伝えておこうと思う。
「ほほう!素晴らしい鞘のあしらいだ。だが問題は収まっている剣だが‥」
獣王様が剣を抜く。
するとダマスカス特有の模様があり、その模様は白銀に光っている。
「ふむ‥やはり素晴らしい。」
獣王様は剣を見惚れているようだった。
「マルコイよ。これ程の武器の献上、誠に大儀であった。褒美として金貨を渡そう‥と思っていたが、お主は獣人族の固有スキルは模倣できるのか?もしできるのであれば、それを褒美とするが?」
き、金貨でも大変ありがたいんですけど‥
「獣人族の固有スキルですか?」
「固有スキルと言っていいのかわからぬが、今では獣人族でもわずかしかいない希少スキルだ。それにこのスキルは獣人族以外に持っているものはいない。」
ほほう。
それは興味がありますね。
「いったいどのようなスキルでしょうか?」
「そうだな、スキルは【獣化】という。そのスキル名通り、理性を保ったまま身体を獣にするスキルだ。」
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