第358話

フーラさんの店を出て拠点に戻ってきた。


ミミウさんがすすめるので一杯だけ『たっぷりタルタル丼』を食べた。


残すのも失礼だったので全部食べた。

悪くはなかった。

 


胸焼けしたのでエンチャント:水が必要になったが‥


ミミウは結局10杯は食べてたけど、他の店でおやつも買っていた。

さすが異次元胃袋である。


しばらくソファーでゆっくりしていると、アレカンドロが帰ってきた。


「アレカンドロおつかれさま。どう?うまくいった?」


アキーエがアレカンドロに話しかける。


「はいアキーエ殿。団長は予想していたみたいで快く送ってくれました。メンセンさんは納得されてないみたいでしたけど。」


何か2人で話をしている。


何より驚いたのはアレカンドロって普通の音量で会話もできるんだな。


衝撃だった。


「マルコイ殿!」


うおっ!

び、びっくりした。


「少しお話があるので宜しいでしょうか!」


「お、おう。わかった。」


そう言って場所を変える。

アレカンドロの父親が使う予定だった部屋に入り椅子に腰掛ける。


「それでアレカンドロ。話って?」


「はい。実は‥自分を‥‥‥自分をマルコイ殿のパーティに入れてもらえないでしょうか!」



「‥‥それは『アウローラ』を退団して俺たちのパーティに入りたいって事で合ってるか?」


「はい!無理でしょうか?」


いや、別にこれ以上パーティを増やさないなんてつもりもないのだが、俺の秘密の件もある。

だから誰でもいいって訳じゃない。


正直アレカンドロなら問題ないと思う。

しかし‥


「なんでだ?『アウローラ』はアレカンドロが育った家族みたいなのものだろ?そこを退団してまで俺のパーティに入る必要があるのか?」


「はい。ずっと考えてはいました。それこそマルコイ殿たちと闘ってからずっと。その時はまだ『アウローラ』をやめてまでとは思っていませんでした。ですがセイルズでオークから助けてもらいマルコイ殿に強い憧れを持ちました。も、も、もちろん強さにですよ!‥‥あんな風になりたいと強く思ったのです。しかし自分は暗殺者が来た時にも全く役に立ちませんでした。いや役に立たないどころか戦場に立つ事さえままなりませんでした‥今のままじゃダメだと。確かに『アウローラ』にいても強くなれるかもしれません。でもマルコイ殿に少しでも近づくためには、常に闘いの中に身を置くマルコイ殿と共に歩むのが1番だと思ったからです。」


そうか‥

闘いの中に身を置いてるつもりはなかったけど、周りから見るとそう見えるのかな。


「クワイスは何と言ってた?」


「団長は‥お前の好きにしろと。『アウローラ』はお前の家族だが、娘はいつか‥よ、よ、よ、嫁に行くものだと!」


クワイスも気づいてたのかな?

だからアレカンドロを俺たちと共に行動させてたのかもしれないな。


「‥‥‥わかった。歓迎しよう。ようこそ俺たちのパーティに。」


「本当ですかっ!やったー!」


「あ、俺はいいけど、一応パーティの皆んなに聞い‥」


「よかったじゃないアレカンドロ!」


「よかったですぅ!」


扉が開いたかと思えばアキーエたち3人が入って来た。

か、壁薄くない?

するとキリーエが近づいてきた。


「アキーエちゃんはずっと心配してたんよ。うちら3人は話を聞いていて賛成しとったからね。」


俺以外は知ってたのね‥

まあ全員賛成なら問題ないか。


「なるほどな。しかしクワイスもよく了承したな。」


「何言ってるのよマルコイ。アレカンドロが出て行くのは団としてはもの凄い痛手かもしれないけど、アレカンドロが私たちの所に来る事でマルコイと縁が出来るんだから。クワイスからするとほんとに嫁に出す気持ちだと思うわよ。」


まあそうだな。

もし『アウローラ』が困っている時はアレカンドロのためにも手を貸したいって思うだろうな。


「よしわかった。アレカンドロ。今日から改めてよろしくな。」


アレカンドロはパーティに入った。

なら俺の秘密も伝えないとな。


仲間に隠し事はしたくないから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る