第139話
ミミウの短槍がヤクトルを捉えた!
そう思っていたが、ヤクトルはスモールシールドで短槍の軌道を変える事で間一髪短槍を避ける事に成功していた。
残念。
油断している間に決着がつくかと思ったが‥
盾で短槍を押し返し距離をとるヤクトル。
「驚いた‥ただの盾士じゃないって事か。闘技会の予選を勝ち上がってくるわけだな。」
ヤクトルは盾を持っている腕を前に出し、剣を構える。
「ダブルスキルかもってところだな。しかしダブルスキルはどちらかの成長スピードが遅かったりするからな。それ程警戒する必要もないだろう。しかし俺のスキルは攻守一体。攻撃も守りも隙はない。」
そしてヤクトルは猛スピードでミミウに迫る。
そして持っている盾をミミウの盾に打ち付ける。
その程度でミミウが動かされるわけはないが、視界を遮られる。
そしてヤクトルは盾を軸にして横に回転するように動く。
ミミウからは見えていないだろう。
そしてヤクトルはミミウの足元に剣を振るう。
ミミウはスキル【遠視】により辛うじて見えたのだろう。
ギリギリでタワーシールドを支点にミミウは前方に倒れるように移動して剣を躱す事ができた。
「ふむ。反応もかなりの物だな。まさか躱されるとは思わなかったぞ。しかしこの先も躱す事ができるかな?俺のレアスキル【剣闘士】の力をとくと見るがいい。」
ん?
スキル【剣闘士】?
あのスキルは模倣スキルの統合でできる特殊スキルじゃなかったのか?
まさか俺以外にスキル【剣闘士】を発現している人がいるとは思わなかった。
しかし‥
ミミウの準備も終わったようだな。
今からのミミウはもう一段階強くなるぞ。
レアスキルだといえミミウの持つ力はスキル外の力だ。
さて、ミミウも相手に強さを見せつけてやれ。
ヤクトルは先程と同じように盾を眼前に持ってきてミミウに向かいダッシュする。
盾と盾がぶつかり合う音がした後にヤクトルはさっきとは逆側に回り込む。
剣を振おうとした時に違和感を感じた。
なぜか剣を振おうとした先に盾があるのだ‥
正確には盾ではなく、黒い壁のような物がある。
剣を振るのをやめて一旦下がろうとするが、足元が滑る。
正確には地面が引き寄せられる。
慌てて体勢を立て直し飛び退くがそれをミミウが見逃すはずもなく短槍の突きが迫る。
なんとか盾で防ぐが逸らす事が出来ずに、もろに衝撃を受ける。
小さな身体に何故これ程の膂力があるのか疑問に思う程の衝撃でヤクトルは吹っ飛ばされる。
地面を転がるヤクトルが体勢を整えた時には眼前にミミウが迫ってきていた。
すぐに攻撃を捌くために盾を構えようとするが、盾が動かない‥!
そしてヤクトルはミミウの短槍の胴金部分の振り下ろしを肩にくらいそのままうずくまるように動かなくなった。
「第一試合。勝者ミミウ!」
観客から割れんばかりの拍手が上がる。
まあ第一試合からBランクがAランク冒険者に勝利したんだからな。
そうなるよな。
ヤクトルも訳がわからなかったろう。
最後の攻防はミミウが起こした現象だった。
ミミウの魔道具は磁力を操作するが、今回の秘密は実は砂鉄だったりする。
闘ってるら最中にこっそりと砂鉄を会場に振り撒いて必要時に固めたり引き寄せたりしただけだ。
多少の砂鉄であっても上に乗っている人は砂鉄ごと引き寄せられる。
些細な事でも闘っている中で起こると初見ではまず対応できないだろ。
それに対応できたとしてもまだまだ応用できるからな。
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