第877話
「よし!心の準備は出来たぞ!話すがいい!」
俺とアキーエは謁見の間ではなく応接室に通され、
獣王様とエッケンさんに尋問を受けている。
あ、間違えた聞き取りされている。
そして俺の話を聞くには事前に心の準備がいるらしい‥
失礼な‥
心の準備が必要なのは、アキーエの話だけにし‥
すみません、アキーエさん。
そんな視線だけで人が殺せそうな眼で見ないでください‥
俺はプリカでの出来事を全て話した。
もちろん魔族が実験と称して、プリカの人たちをモンスター化していたことも伝えた。
「ふ〜む‥エッケンよ。マルコイの言う魔族の実験とは何かわかるか?」
「いえ、マルコイの言う人が紫色の肉に変わる事象など今まで報告にありませんし、歴史の中でもあったとは思えません。おそらく魔族にしか手に入らない物を使い行っているのでしょう。ただ魔族だけではなく、それを『あのお方』とやらが指示をしている事が問題でしょう‥」
そうだな。
『あのお方』とやらの目的がいまいちわからない。
魔王のように魔族以外は全て滅ぼすみたいに目的がはっきりしているといいんだがな。
まあ邪魔するんだけど。
はっきりとした目的がわからないと、どうしても国としては後手後手に回ってしまうだろう。
でもその辺は俺の考える事じゃないし、エッケンさんとか考える事が仕事の人に任せとこう。
「ふ〜む。しかしマルコイは相変わらずとんでもない事をやっておるな。」
そうかな‥?
「しかし今回は緊急ではありましたが、トールルズの王様からの依頼でしたし、特に問題はないのでは?まあアキーエが城壁やら街をぶっ壊してはいましたが。」
いたたたた。
アキーエさん足踏んでますよ。
あ、グリグリしないでください。
「そうではあるが‥王家の者が抑える事ができなかった規模の反逆を、お主達のパーティだけでどうしかしてしまうなど本来ありえん事だぞ。」
まあそれはそうだな。
でもそれは俺だけじゃなく、仲間がすごいからな。
「わかった。報告助かった。」
「いえ、これで少しでも国のためになればと思います。」
「ふむ。すまぬ。ところで話は変わるが、マルコイはしばらく国にいるのだろう?疲れている所悪いが、以前納めてもらった武具をまた納めてくれぬか?」
「ええ。勇者の装備を作るつもりなので、しばらくいるつもりです。武具はどれほど必要でしょうか?」
「そうじゃな、勇者の装備を作る合間で出来るだけでかまわぬ。」
「それじゃあとりあえず剣50、鎧50くらいでよろしいでしょうか?」
「50!?そ、それはかまわぬが一体何ヶ月かかるのだ?それに合間で作れる量ではあるまい?」
別にそれくらいスキル【創造士】があれば問題ないしな。
ミスリルで作ったダマスカス剣程度なら、魔力を温存しながらでも50本くらいなら1週間もあればできるはずだ。
「出来上がりが鋳造のようになりますが、それでも構わなければ1週間程度で出来ますよ。」
ミミウに作った料理のように、スキル【創造士】で作った物は作り手のスキルや経験、微妙な加減などは出来ない。
それこそ全く同じ物を同じように作るだけだ。
俺のスキル【剣匠】で作った物と、スキル【創造士】で作った物であれば、スキル【剣匠】で作った物の方が品質はいい物が出来上がる。
「あ、あれ程の物が鋳造で出来るのか?そ、それは構わぬが、流石のマルコイでも1週間で作る事は出来ぬだろう?」
「そうですね。実際見てもらった方が早いと思います。」
俺は席を立ち、物が置けるスペースがある場所の前に立つ。
「『創造:ダマスカス剣』。」
俺は鉄にミスリルを取り込んだダマスカス剣を創造する。
そして10本のダマスカス剣を空いていた場所に創造した。
「こんな感じです。魔力の問題があるから1日10本前後にはなりますけど、1週間あれば問題ないと思います。」
魔力を気にしなければもっと出来るけど、魔力は勇者の装備や俺の実験‥げふんげふん‥俺の魔道具開発に取っておきたいからな。
俺は振り返って獣王様を見る。
すると何故か獣王様とエッケンさんは目玉が飛び出すほどの表情をしており、アキーエに関しては頭に手を当てて深いため息をしている。
あれ?
俺何かしたかな?
「ちょ、ちょ、ちょ‥」
ちょ‥?
ちょうちょ?
「ちょっと待てマルコイ!お主今いったい何をした!」
「え?何ってスキルを使って剣を作っただけですよ?」
「待て待て待て待て!そ、そんな簡単に物が作れるわけがないであろう!ましてや何もないところから剣を作り出すなど、神の所業ではないか!」
「いや、何もない所からじゃないですよ。材料は俺の『スペース』の中に入ってる素材を使ってますから。」
「そ、そう言う事ではないのだ‥はぁ、エッケンよ。どう思う?」
「そうですな‥‥マルコイだから、と言った所でしょうか‥」
な、なんだよ一体‥
失礼だな。
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