第660話
魔族のゴヤは混乱していた。
ゴヤはようやく魔王様の親衛隊ともいえる十魔に入る事ができた。
これでゴヤの目標が十魔に入る事から、もっと功績をあげて三指に入るのが目標になった。
三指は十魔の中でも高い実力を持っている3人だ。
新参者のゴヤが目指すのは無謀だが、功績をあげ続けていけば見えてくるはずと思っている。
今回のトールルズ攻略も2人の十魔で行う事になった。
多少警戒はされているかもしれないが、高ランクモンスターに十魔2人。
それに十魔ほどではないが、力ある数人の魔族もついてきている。
この戦力なら警戒されていようが関係なく国を滅ぼす事ができる。
他種族の最大戦力である勇者も他の国に誘き出されている。
これで我らの侵攻を防ぐ者はいない。
そう簡単に思っていたが思いの外、首都プリカの城壁に苦戦する事になった。
まあ苦戦と言っても城壁を突破するのに時間がかかっているだけで、モンスターに被害が出ている訳では無い。
時間をかければ問題なく片付くはずだ。
空を飛べるモンスターもいるのだが、上空には魔道具によるものと思われる結界が張ってあり、攻撃が通らない。
グリフォンなども城壁の上を飛んでいるだけになっている。
仕方なく城壁を壊す事を選んだが、なかなか壊す事が出来ずにやきもきする。
これは城壁が壊れるのが先か、魔道具の魔力切れが起こるのが先かになってきた。
どちらにしろ首都プリカが落ちる事には違いはないのだが。
城壁の上から街の中は攻撃できないが城壁の上に陣取り、指示を出したり動き回っている者どもを先に殺すとしよう。
そう思い、スキル【マニピュレイト】を持つ魔族を呼ぶ。
そしてドラゴンに城壁の上にいる奴らをブレスで焼き尽くすように指示を出させる。
同胞からの指示をもらったドラゴンは城壁よりも高く舞い上がり、下方に向けてブレスを吐く準備をする。
そして小汚いドワーフを焼き尽くすブレスがドラゴンの口から放たれ‥なかった。
突然遠方から飛来した魔法がドラゴンに突き刺さったのだ。
魔法はドラゴンに直撃すると爆炎を上げてドラゴンを焼き尽くした。
火属性に耐性のあるドラゴンをだ。
そんな威力の魔法なんて見た事がない。
いや、一度だけ魔王様の高威力の魔法を見たがそれと比べても遜色ないレベルだ。
魔法の飛んで来た方を見る。
すると何台かの馬車がこちらに向かって来ているのが見えた。
援軍か?
おそらくあの馬車に魔法使いを詰めるだけ詰めて、複合魔法でも放ったのだろう。
1人で放てる魔法の威力ではなかったからな。
小癪な。
だがたかが魔法使いだ。
近づいて来たモンスターにはどうすることもできまい。
指示を出して、半数のモンスターを馬車の方に向かわせる。
半数は多すぎるかもしれないが、城の奴らが調子に乗ると鬱陶しいからな。
ゴヤの指示で馬車の襲撃に向かったモンスターで、足の速いものはすでに馬車を攻撃しようとしていた。
しかし先頭を走っていたグリフォンが突然倒れる。
魔法を受けたのかと確認すると首がないのがわかった。
何故?
ゴヤがそう思っていると馬車から数名の冒険者らしき者が出てきた。
魔法使い‥?
出立ちが魔法使いに見えない。
すると出てきた冒険者らしき者がいつの間にか装備した斧でモンスターを薙ぎ倒し始めた。
気がつかない間に鎧まで装着している。
あいつがドラゴンやグリフォンを倒したのか?
おそらく高ランク冒険者を援軍に寄越したのだろう。
ゴヤはそう思い、高ランク冒険者1人でモンスターと魔族を相手しようとしている事に腹を立てながら歩みを進めていると、他にも何人かの冒険者が出てきた。
先に出てきた冒険者の援護かと思いきや、1人1人がモンスターを相手している。
グリフォンやマンティコアなど高ランクのモンスターをだ。
意味がわからなかったが、好きにさせるわけにはいかず声を上げる。
「貴様ら!このゴヤ様の侵攻を妨げようとはいい度胸だな!俺様が相手して‥ぐぼっ!」
「あっごめんなさい!モンスターと思って殴っちゃった!」
顔に強烈な痛みを感じ後方に飛ばされながら見たのは、赤い髪をした人族の女であった‥
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