第659話
何故かわからないけど、マルコイに馬鹿にされた気がするんだけど‥
何故かわからないけど脳筋扱いされた気がする。
今からモンスターの群れに戦いを挑むっていう時なのに、何故かそんな気がしてしまったわ。
でも今はそんな事気してる場合じゃないわね。
この戦いに勝利してマルコイに問いたださないと。
ドラゴンは魔法で撃ち落とす事ができたけど、トールルズの城壁にモンスターが攻め行ってる事には変わりない。
多少は動揺したみたいだけど。
なんとかこちらを警戒してモンスターが二手に分かれてくれた。
そのまま城壁を攻めるモンスターとは別に、こちらを迎撃するためにモンスターが動いた。
ここまで明確に意思を持って動くって事は誰かが操ってるとしか思えないわ。
やっぱり魔族がいると思った方がいいかしら。
でもこっちにも正人さん達がいるから、魔族がいたとしても倒すだけだ。
モンスターの中で数匹他より速い動きで向かってくるモンスターがいる。
鷲の頭と翼を持った獅子‥
グリフォンだわ。
こんなモンスターまでいるなんて。
ドラゴンなんかと同じくらい高ランクモンスターだわ。
「ん〜、あれは鳥さんと牛さんとどっちの味なんですかぁ?」
ミミウ‥
あれは多分猫科よ。
だって胴体が猫だもの。
「ん。近寄ってくるならたすかる。あそこまで遠いと届かなかった。」
そう言うとリルが剣を一閃する。
すると剣先から放たれた剣撃が、グリフォンの首を撫で斬り落とす。
突然頭がなくなったグリフォンの身体はしばらく走るとそのまま地面を転がるように倒れた。
「あー!ずるいですぞリル殿!自分も戦いたかったのに!グリフォンなんてなかなか戦う機会がないというのに!」
「ふん。はやいもの勝ち。」
え、えーっと‥
「頭がなくなると、牛さんみたいですぅ!」
いやだから猫科だよミミウ。
「ほぉー!グリフォンとかメッチャいい素材になりそうやんか!肉はミミウちゃんとしても、羽とか皮、爪は色々使い道があるで〜!」
キリーエが自分のスキル【ボックス】の空きを確認している。
「ア、アキーエちゃん‥アキーエちゃん達っていつもこんな感じなの?」
あやめさんがわたしに聞いてくる。
いつも‥
えっと‥いつもこんな感じがするわね‥
「今回は特に張り切ってるみたいだけど‥あまりいつもと変わらない気がするわ。」
そう。
緊張してたのは自分だけみたい。
「よし!一旦ここでモンスターを迎撃するぞ!馬車を止めて各自戦闘態勢に入れ!」
バラックスさんの指示が飛ぶ。
馬車を止めて地面に降りる。
高ランクモンスターの半数がこちらに向かって迫ってきている。
人型の影も見える。
魔族も来ているようだ。
ここからが本番になるわね‥
さてこのモンスターを退けて、城壁に辿り着かないと。
まずはここでモンスターを迎‥
「今度は自分の番ですな!」
アレカンドロが前に駆け出す。
えっと‥
みんな我が強すぎるわ‥
アレカンドロはスキル【聖鎧闘士】を発動させてモンスターの群れに突っ込む。
「はっはっは!どんどんかかってきていいですぞ!それそれっ!」
アレカンドロは斧を振り回しながらモンスターを討伐している。
斧には風の力が宿っており、攻撃を避けたモンスターにも攻撃している。
はぁ‥竜巻みたい。
「アレカンドロずるい。リルも。」
「ドラゴンはとっておくですぅ!ミミウが美味しく倒すですぅ!あと美味しそうなモンスターがたくさんいるから、なるべく美味しく倒してほしいですぅ!」
「ミミウちゃん任せとき!ちゃんとうちが回収しとくさかい!」
みんな一斉に駆け出した。
それをドワーフのボヤンさんが顎が外れるんじゃないかってくらい口を開けて見てる。
うんうん。
わかるわ。
でも深く考えたらダメみたいよ。
あんまり考えなくて、戦えばいいのよ。
それじゃあ、そろそろわたしも行ってこようかな!
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